日本共産党

2002年9月20日(金)「しんぶん赤旗」

北京の五日間(4)

中央委員会議長 不破哲三

26日 戴秉国中連部部長との会談(中)


「十二項目」の問題提起にこたえて

 前回の訪中のさいにも、到着した日に、最初に話し合ったのは、戴秉国(たいへいこく)部長とだった。今回もそういうことになったのだが、今度は、時間をかけての本式の会談となった。

 戴秉国さんが口火を切ってあいさつをした。そして、そのなかで、今回の訪中が「わが党の党大会の日程を発表した翌日に始まった」ことを強調したのは、印象的だった。

 私が「十二項目ものテーマをいただいて、どの項目をいつ、どこで、どなたに話すべきか、そのプログラムを考えているところだ」というと、笑って、「ご自由に話してほしい」という。

 そこで、「十二項目」で提起された中国側の問題意識を頭におきながら、まず北東アジアの地域情勢――日本自身がかかえる問題点や朝鮮半島情勢の見方、中国がいよいよ国際的な比重と地位を大きくしてくるなかでの対外活動への希望(以上、項目二の関連)、世界情勢、とくにソ連崩壊後のアメリカの世界戦略の見方と国際的な緊急課題(項目二、七の関連)、長期的な歴史的視野で見た日本の政治・経済情勢、西ヨーロッパとくらべての日本の政治的右翼化の特質とその根源(項目五、一一の関連)、日中関係の現状とそれを発展的に打開する方策(項目一、六の関連)など、自由な調子で話した。

 そこまで話して「これで、だいたい十二項目のうち、四つか五つかぐらいは話したのではないか」というと、戴秉国部長は「話の内容は、江沢民総書記にも報告する」と述べ、「そろそろ食事の時間、続きはそこで」ということで、一同、食事の席に移った。

意見交換の方式には三つの型がある

 これから「宴会」になるわけで、中国側の日程表では、この「宴会」が四泊五日の日程のなかに五回も予定されていた。滞在中の昼・夜八回の食事のうち、五回の「宴会」といえば、これもかつてない過密だが、実は、この「宴会」も、意見交換のたいへん重要な一方式である。

 私流に整理すると、意見交換の方式には、三つの型がある。両者が机の両側に座り、対面する形で話し合うのが「会談」方式、大きな部屋で、代表者同士がいすをならべて座り、双方の同席者が左右に扇状に広がるのが「会見」方式、テーブルを囲んで食事をしながら話し合うのが「宴会」方式である。さしずめ、この日の戴秉国部長との話し合いは、そのうちの二つを組み合わせた「会談+宴会」方式というべきもので、全体で四時間近くに及んだ。

 ただ「宴会」方式の話し合いの難点は、話す口と食べる口が一つだ、ということである。話しているあいだは、食べる方はストップせざるをえないわけで、そこでも、戴秉国さんから“不破さんは小食だ”と評価されるほど、もっぱら話す方に重点をおいて「宴会」方式を活用した。「宴会」スケジュールの過密さにもかかわらず、この五日間、心配していた体重増という結果にならないですんだのも、「話すことに重点」という対応の成果だったかもしれない。(つづく)

 


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