2002年9月15日(日)「しんぶん赤旗」
ブッシュ米大統領が十二日の国連総会での演説でイラク問題について安保理と協調して行動すると述べたことから、安保理の論議の行方が焦点となってきました。
「新たな国連決議は不要」との米国の姿勢の変化に、これを歓迎する論調が多く現れています。ノルウェーのボンデビック首相は「国連が行動しなければならないということだ。問題はどういう行動をするかだ。私は平和的な解決を期待したい」と述べました。
他方で、安保理決議を対イラク武力行使の「手続き」にすぎないものにするという米国の姿勢への懸念は弱まってはいません。
安保理の常任理事国五カ国は十三日、イラクに大量破壊兵器の国連査察を一定の期限内に受け入れるよう求める新たな安保理決議をめざすことで合意しました。ブッシュ大統領は期限設定と、その期限を「数日間や数週間」とするよう求めています。
査察受け入れまでの期限については、すでにフランスが、最初の決議で「三週間」とし、イラクが期限内に応じない場合には新しい決議を採択するという「二段階方式」を提案しています。この第二の決議は軍事力行使も視野にいれたものになる可能性もあります。
イラクが期限内に査察を受け入れるかどうか―。米国はこの査察に軍事力を伴わせた「強制査察」も検討しているとみられます。米国のシンクタンク「カーネギー財団」は国連の枠内で五万人の兵力に支援された「強制査察」を提案しています。フセイン・イラク政権がこれを拒否した場合には軍事行使に踏み切るというものです。これは、むしろイラクに査察を拒否させるためのもの、という指摘もあります。
パウエル米国務長官は十三日、米テレビでの質問に、「われわれは(イラクが)査察官(を受け入れるかどうか)に焦点を置いているわけではない。査察官の問題を超えた、いくつかの考えをもっている」と述べました。
査察受け入れをめぐるこれまでのイラクとの応酬を繰り返さないという立場を示したもので、ここにも「武力行使先にあり」の一端が示されています。
安保理決議は五常任理事国のいずれの国も拒否権を行使しなければ採択されます。米国の武力行使に同調する英国、武力行使容認に傾くフランスを除けば、ロシアと中国の態度が焦点になります。
ロシアは「政治的、外交的手段を尽くしたというには程遠い」(プーチン大統領)としていますが、グルジアの「テロリスト」一掃のため同国に越境攻撃する権利を認めてもらう代わりに、イラク攻撃を認めるのではないかとの見方も広がっています。(伴安弘記者)