2002年9月14日(土)「しんぶん赤旗」
【ニューヨーク12日遠藤誠二】国連総会出席のためニューヨークを訪れている小泉純一郎首相は十二日午後、同市内のホテルでブッシュ米大統領と会談しました。日米首脳は、イラクに対する軍事行使問題について、同国の脅威をともに認識することで一致。北朝鮮問題でも両国が連携して取り組んでいくことを確認しました。
会談では、大量破壊兵器開発などの疑惑を理由にイラクへの軍事行使を模索しているブッシュ大統領が、「我慢にも限界がある」「(査察などについて)イラクは時間の引き延ばしを図っている。だらだらするのは良くない」などと言明。必要ならば大量破壊兵器の査察受け入れに期限をつけ、それが履行されなければ武力行使もありうるとの考えを示しました。
これに対して小泉首相は、イラクに対する「憤慨は理解する」としつつ、「ここは我慢に我慢を重ね一段の国際協調を取ることが望ましい」と要請。しかし、イラク攻撃そのものに反対するとはのべませんでした。
北朝鮮問題について、ブッシュ大統領は、小泉首相の訪朝と日朝首脳会談開催に支持を表明しながら、「対話の道は閉ざしていないと(北朝鮮に)伝えてほしい」と語り、米朝交渉再開に意欲をみせました。一方で、北朝鮮の大量破壊兵器、通常兵器、ミサイルについても「強い関心がある」と語り、日朝会談で安全保障問題を議題にのせるよう迫りました。
日本共産党の志位和夫委員長は十三日、日米首脳会談についてマスコミの求めに応じ、次の談話を発表しました。
一、国際政治の焦点となっている米国によるイラク攻撃について、小泉首相は、ブッシュ大統領にたいして、「もう一段の国際協調体制」をとのべるにとどまり、イラクへの軍事攻撃に反対するとはのべなかった。
一、ブッシュ大統領は、国連をつうじたイラク制裁の協議をおこなうとしながら、米国単独でもイラクへの先制攻撃をおこなう方針を、公然と明らかにしている。
国連憲章は、侵略が発生したさいの自衛反撃以外には、個々の加盟国による武力行使をかたく禁じている。ブッシュ大統領が宣言している先制攻撃は、それ自体が国連憲章を根本から蹂躙(じゅうりん)する無法である。それは、賛成する国の数いかんによって正当化されるものでは決してない。
一、日本政府が、国連憲章を守る立場に立つというのなら、対イラク先制攻撃に反対することを、内外に明らかにすべきである。