日本共産党

2002年9月5日(木)「しんぶん赤旗」

農地法とは?


 〈問い〉 政府が改悪を検討しているという、農地法はどんな法律ですか。(埼玉・一読者)

 〈答え〉 戦前の日本では、農地のかなりの部分が大地主に握られていました。大地主の土地で小作する農民は、収穫量のなかば以上を現物小作料としてとられるなど苦しめられていました。戦後の農地改革でこのような前近代的な地主制度は解体され、約二百万ヘクタールの農地が耕作農民の手に移りました。一九五二年に制定された農地法は農地改革の成果を引き継ぎ、耕作者の土地所有と権利を保護することを目的とした法律です。

 農地法は、農地の所有や利用という、農業の根幹となるルールを定めています。その中心が「農地はその耕作者みずからが所有する」(第一条)ことを最善とする、耕作者主義の考え方です。農外企業などが目先の利益優先で農地を手に入れることを防ぎ、耕作者の営農を安定させることを重視しています。

 そのため、はじめは農地を取得できるのは、自分や家族で耕す耕作者に限定していました。のちに農業生産法人にも認められましたが、農民の集団であることが保持される、農事組合法人や合名・合資・有限会社に限定していました。株の売買で所有者が容易にかわる株式会社は農外資本などの農地取得も可能にするため、認められていませんでした。

 しかし二〇〇〇年に農地法が改悪され、株式譲渡の制限がある株式会社に限って農業生産法人の一形態として農地取得も可能になりました。さらに農水省は、今年四月に公表された「食と農の再生プラン」で、株式会社の全面的な参入を打ち出しています。株式会社は経営悪化や所有者の変更などで経営方針が容易にかわるため、その農地取得は、農業の持続的な発展を保障するものとはなりえません。いまでも各地で、農地への建設残土投棄などの不法利用が起きていますが、株式会社化で目先の利益優先が持ち込まれ、いっそうの荒廃をまねくことが危ぐされます。

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 〔2002・9・5(木)〕

 


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