日本共産党

2002年8月10日(土)「しんぶん赤旗」

日本ハム 業界団体を支配して

証拠隠しの「連携プレー」

退廃したトップメーカー


 BSE(狂牛病)をめぐる農水省の食肉買い取り事業で、業界トップの日本ハムが九日夜、組織的に対象外の輸入牛肉を国産牛と偽装していたことを認めました。偽装の証拠となる輸入肉の一・三トンすべてを全箱検査前に焼却処分する悪質さでした。雪印食品につづくトップメーカーの不正は、業界全体への不信感も広げています。

 農水省の買い取り事業の委託を受けた農畜産業振興事業団に、日本ハム・ソーセージ工業協同組合から日本ハムの補助金取り下げ申請があったのは六月十三日。理由は「自主検品で品質保持期限切れだったと分かった」というものでした。取り下げ申請の理由を、偽装牛肉であることを隠ぺい、取り繕った上の「うそ」でした。農水省などは当時、申請取り下げは認められないとの見解を示していたものの、同組合は勝手に売買契約を解除し、日本ハムに保管牛肉を返品。同社は七月十九日に全量を焼却処分に。

 同組合理事長が日本ハム創業者で、大社啓二社長の父、日本ハム会長の義規氏が務めていたことは、こうした証拠隠しの「連係プレー」への疑いをぬぐいきれません。

 同時に、農水省がみずから決めた抜け穴だらけの買い上げ事業と、チェック体制のずさんさが、温床になってきたことも見逃せません。

 買い取り事業スタート時の農水省の検査は、一つの倉庫を対象に百箱から一箱を抜き取るというあまりにもずさんなもの。雪印食品事件発覚でようやく始まった全箱検査は結局、日本ハムと同組合に踏みにじられた格好です。農水省の業界に甘い買い取り事業の不透明さを利用して、利益のためなら何をしてもいいという退廃ぶりがのぞいています。

 日本ハムが実質的に支配する組合を悪用した不正行為ではないのか――。報道陣の質問に、同組合の広報担当者は当初、「各社の自主調査で対象外の肉が入っていたから、組織内の手順を踏んで申請取り下げを決めた」と答えていました。しかし、この説明もむなしい「うそ」だったことがはっきりしました。

 


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