日本共産党

2002年8月10日(土)「しんぶん赤旗」

有機汚染物質のストックホルム条約とは?


 〈問い〉 今年国会で承認された、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約とは、どんな条約でしょうか。(東京・一読者)

 〈答え〉 二十世紀の後半に爆発的に増えた合成有機化合物は、現在年産四億トンを超えると推定されます。自然界になかったものが多く、毒性などほとんど未知のまま使用・放出されてきました。近年毒性が明らかになるにつれ、緊急な対策が必要とされているのが残留性有機汚染物質(POPs)です。

 残留性有機汚染物質とは、毒性があるうえ分解されにくく、生体に蓄積され、大気や水、生物種を介して拡散する有機化合物です。ダイオキシンや、日本でもかつて殺虫剤に使用されたDDT、電気製品の絶縁体に使用されたPCBなどが該当します。長期間残留し生体蓄積されるため、将来の世代にも重大な影響を及ぼします。発生源から遠く離れた北極や南極の生物種でも高濃度で検出されるなど、地球規模の対策が必要になっています。

 この七月に条約締結が国会承認された「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」は、こうした化学物質の生産・使用・排出を原則的に禁止する最初の国際条約です。条約締約国が五十カ国に達してから九十日後に発効します。今年六月までに十一カ国が条約の締結手続きを終えていました。

 条約は当面、十二種類を対象に、▽農薬や工業物質など九種類の製造・使用を原則禁止▽農薬DDTの製造・使用を制限▽ごみ焼却時に生成されるダイオキシンなど、意図しない生成物二種類の排出削減―を求めています。

 新たな規制対象物質は、審査委員会での審議を経て、締約国会議の四分の三以上の合意で条約付属議定書に追加されます。

 日本には、欧米にくらべ大きく遅れをとったダイオキシン対策、かつて各地に埋設した禁止農薬の最終処分、在日米軍基地に四百四十トン貯蔵されているPCBの処分など、課題が山積しています。

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 〔2002・8・10(土)〕

 


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