2002年8月2日(金)「しんぶん赤旗」
「イラクはどんな脅威を与えているのか?」――三十一日に開始された米上院外交委員会のイラク攻撃をめぐる公聴会の冒頭、バイデン委員長は問題提起しました。しかし証人らが強調したのは、イラクが大量破壊兵器の開発と取得に努めているということだけ。イラク・フセイン政権が米国の安全にどんな脅威を与えているのかは、明らかになりませんでした。
バイデン委員長は同日の米紙への寄稿で、大量破壊兵器取得を追求するだけでなく「実際に使用した点でフセインは比類がない」と述べました。
しかし、核兵器を含む大量破壊兵器取得を「追求」するだけでなく現に大量に保有し、しかも実戦使用した米国が、初歩的な核兵器を保有しているかどうかも不明で、その運搬手段をほぼ有していないイラクを「脅威」だと叫んでも、国際的には通用しません。
今日の世界平和のルールを定めた国連憲章は、国連加盟国への「武力攻撃」に対する自衛以外に、各国が勝手に武力行使することを禁止しています。イラクが、米国を武力攻撃する差し迫った脅威を与えていないことは、初日午前の公聴会の三人の証人も認めました。
むしろ米国こそ、安保理決議で承認されてもいない飛行禁止空域をイラクに対して一方的に設定し、イラク空爆を繰り返しています。
核兵器を含む大量破壊兵器拡散の危険は、これらの兵器の廃絶によって確実に除去できます。米国によるイラク攻撃が逆に、イラクによる大量破壊兵器の使用を招く危険性があるとの指摘が、米国内で強まっています。
アルカイダなど国際テロ組織とイラクとの連携は、米情報機関などが今日まで膨大なエネルギーを割いて調査してきたにもかかわらず、証明されていません。対米テロの脅威が武力攻撃によって消滅しないことは、対アフガニスタン攻撃によって証明されています。
米上院公聴会の議論からも、米国のイラク攻撃に何の正当な根拠もないことが浮かび上がっています。(ワシントンで坂口明)