日本共産党

2002年7月26日(金)「しんぶん赤旗」

空母を奇襲部隊基地に

米海軍が検討

他国への軍事介入に使う


 【ワシントン24日坂口明】米海軍が空母などを特殊作戦部隊が出撃する海上浮揚基地に使うことを検討していることが明らかになりました。横須賀を母港とする空母「キティホーク」が対アフガニスタン攻撃で特殊作戦部隊の海上出撃基地として活動した経験に基づき、「対テロ戦争」を看板にした今後の世界各地への軍事介入作戦に活用する構想です。


 「キティホーク」は昨年十―十二月、ほとんどの艦載機を降ろしてアラビア海に展開。特殊作戦部隊をアフガニスタンに運ぶヘリコプターの出撃基地などとして活動しました。

 USAトゥデー紙などによれば、米海軍はこの「成功」に味を占め、船齢四十二年で来年退役予定の空母「コンステレーション」を特殊部隊用の海上浮揚基地とすることを検討しています。

 他の現役空母を同任務にあてることも選択肢とされています。しかし乗組員五千人以上の空母は運用経費が高額のため、船脚は遅くなるものの、大型商業・軍用船舶に飛行甲板を設置する案も検討されています。

 一九九二年には、弾道ミサイル搭載原子力潜水艦(SSBN)がSEAL(海軍特殊部隊)二百人を輸送する船舶に改装されています。老朽化したSSBN四隻を同任務に転換させる計画もあります。

 海上浮揚基地は、周辺諸国の地上基地が使用できない場合や、軍事協力が得られない場合でも、他国への軍事介入を強行する手段として必要とされるものです。

 昨年九月に国防総省が議会に提出した「四年ごとの軍事態勢見直し(QDR)」報告は、米軍のアクセス(接近)が拒否されることを米国にとっての「脅威」とみなし、それを「打破」する軍事能力を保持するとの目標を掲げています。

 そのために前方展開部隊、緊急展開能力、特殊部隊、核抑止力などを組み合わせた「前方抑止」態勢をとるとしています。また相手国政府の同意がなくても外国領土に米軍拠点を設ける「強制進入部隊」の必要を強調しています。

 海上浮揚基地は、こうした方針に沿うもの。またホワイトハウスが今秋発表する「国家安全保障戦略」で打ち出されるとされる、先制攻撃も辞さないきわめて侵略的な新軍事戦略に呼応しています。

 


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