日本共産党

2002年7月26日(金)「しんぶん赤旗」

長期入院患者の追い出し通達

参院厚労委で西山議員が追及

診療報酬改定の撤回要求


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質問する西山とき子議員=25日、参院厚生労働委員会

 「長年、社会に貢献してこられたお年寄りに、行き場がなくなるという不安を与えるような非情なやり方はただちにやめるべきだ」。日本共産党の西山とき子議員は二十五日の参院厚生労働委員会で、長期入院患者に退院を迫る診療報酬改定を撤回するよう求めました。

 西山氏が取り上げたのは、厚労省が生活保護を受けている長期入院患者の退院を促進するよう、自治体に通達(三月)を出している問題です。

 今年四月の診療報酬改定で、厚労省は六カ月以上の入院患者について、医療保険から病院に支払う「入院基本料」を段階的に15%カットし、その分を自己負担にしました。患者にとっては月五万円程度の負担増となり、払えない人は退院せざるをえません。

 西山氏が取り上げた厚労省の通達では、「(保険から)支給される額を超える部分は患者負担とされることから、医療扶助受給者については、速やかに退院後の受入先を確保し、百八十日を経過するまでに退院するよう指導すること」としています。生活保護受給者であっても、自己負担分の約五万円は「医療扶助」の対象にならず、患者負担になるため、ただちに退院の準備を始めるように指示したものです。

 西山氏は、この通達を受けて、すでに「入院抑制」「退院促進」の動きが出ているある自治体の例を紹介しました。ケースワーカー一人につき、「退院促進」などの対象となる患者を二人以上選定するというノルマを課しています。

 西山氏は、こうした事態が全国的に広がる可能性を指摘し、「医療の基本である入院基本料を特定療養費化したことが、こうした矛盾を生んでいる」と撤回を迫りました。

 坂口力厚労相は「治療が必要でなくなった場合は、家庭や他の施設にお戻りいただくことは当然のことだと思う」とのべました。

 


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