2002年7月24日(水)「しんぶん赤旗」
【ワシントン22日遠藤誠二】米通信大手ワールドコムの破産申請と株価の続落について、米マスコミはブッシュ政権の対応とともに米国資本主義のあり方そのものに警鐘を鳴らす論評を掲げました。
ワシントン・ポスト紙三日付はコラムニスト、ロバート・J・サミュエルソン氏の分析を掲載。「株式市況の下落の主な理由が、投資家が企業会計に信頼を失ったためと考えるのは誤りである」「ワールドコムの会計不正はだれも弁護できないが、それ(不正)は同社の困難の原因というより、その結果である」とし、米国の投機的な資本主義そのものが問題だと指摘しています。
同氏は、インターネットの過大な利用をあて込んで光ファイバー網の建設のために巨大な借り入れがなされたが、「その結果は膨大な余剰力である」と指摘しています。
そして、株価が下がったのは「株価が一九九〇年代に歴史的な水準に比べ高くなりすぎたからだ」として、九〇年代の異常な投機バブルのせいだと強調。根本には「むちゃな楽観主義と政府のずさんな規制」があるとのべ、その例として、米議会の通信委員会が「人為的に補助金を与えるルールをつくって競争を刺激した」ことをあげています。
さらに、「英雄的なニューエコノミー」は「古い妄想」にすぎず、「企業が過剰投資し、消費者が浪費に浮かれた」九〇年代の「遺産の克服は悪党の追放より困難だろう」と指摘しています。
また、同紙八日付は、「電気通信産業の内部崩壊には、もう一つの犠牲者がある。未来への偉大なビジョンである」とのべ、「規制緩和と新しいテクノロジーは、米国の通信市場での競争の黄金時代をつくり出し、経済を活性化し、消費者と企業にたいし、わくわくするようなサービスと製品を抱負に提供するだろうと考えられていた」が、それは夢にすぎなかった、現実には「新興企業の倒産がそこここに散らばっている」とのべています。
ブッシュ大統領が不正企業経営者を処罰するとの方針を示した翌日のワシントン・ポスト紙十日付社説は、「良心のない資本主義はあってはならない」とのべた同大統領の演説について、「企業が団結できる一つの目標は金もうけだ」と皮肉っています。
そして、ブッシュ氏が企業スキャンダルの噴出の原因を道徳の問題にすりかえているとし、同氏が打ち出した政策には、会社の監視を求めた株主への法的措置も、情報提供者の保護措置もなく、「大統領の提案は力がない」と指摘。会計監督委員会の必要性についても語らなかったとのべています。
「“ニューエコノミー”の死は米国資本主義の栄光と錯覚に意識されない教訓を与えた」―ワールドコム倒産翌日の二十二日発売の『ニューズウィーク』誌は、株価急落の特集記事を掲載。同記事は経済の実体にそぐわない行動をとり続けるならば「米国資本主義の次章は幸福とはならない」と断言しています。