日本共産党

2002年7月23日(火)「しんぶん赤旗」

小泉増税計画が暮らし、営業を直撃

景気の足 引っ張る暴挙

衆院予算委 吉井議員の質問


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小泉純一郎首相に質問する吉井英勝議員=22日、衆院予算委

 小泉内閣は来年度、国民大増税を計画しています。日本共産党の吉井英勝議員が二十二日の衆院予算委員会で明らかにした、国民の暮らし、中小企業の営業に及ぼす重大な影響は――。

所得税、住民税で

国民 1兆1400億円増税

 小泉純一郎首相は六月七日、政府税制調査会の石弘光会長を総理官邸に呼び、「配偶者特別控除、特定扶養控除などの簡素・集約化」「外形標準課税の導入による法人課税の実効税率の引き下げ」を指示しました。

 これらの大増税を実行するとどうなるか。

 所得税・住民税では、各家庭の家族構成や生活実態にあわせ、一定額を所得金額から控除する制度を設けています。生活する上で、必要な所得には課税しないという考え方にもとづいています。

 ところが小泉内閣は来年度に、配偶者特別控除、特定扶養控除、老人扶養控除の三つを廃止しようとしているのです。

 配偶者特別控除は専業主婦がいる世帯への控除、特定扶養控除は十六歳から二十三歳未満の高校生、大学生の子どもがいる世帯への控除です。老人扶養控除は七十歳以上の高齢者がいる世帯に当てはまります。

 これらの三つの控除が廃止されるとどうなるか。

 吉井氏の追及に対し政府は、国民負担が一兆一千四百億円になることを明らかにしました。影響を受ける国民の数も二千万人を超える膨大なものです。

 深刻な不況のなか、小泉内閣は医療改悪や社会保険料の値上げなどで三兆円を超える負担増を計画しています。そこに、一兆円を超える増税で個人の所得を奪う「大増税計画」がさらに強行されれば、「景気の足を引っ張ることは明らか」(吉井氏)です。

外形標準課税で

中小企業 6000億円増税

 さらに、小泉首相が指示した「法人課税の実効税率の引き下げ」は、企業所得(利益)に課している法人事業税(地方税)の一部を会社の規模などに応じた課税方式に振り替える外形標準課税を導入しようというものです。莫大(ばくだい)な利益をあげている一握りの大企業が減税となる一方で、利益が出ない赤字の中小企業には大増税になります。

 吉井氏が紹介した日本商工会議所の試算によると、外形標準課税の導入で、黒字法人でも85%が一社平均二百二十九万円の増税、赤字法人はすべて、一社平均百七十九万円の増税。赤字で苦しむ中小企業の増税額は六千億円にのぼります。

 税金を負担する能力に応じて支払うという「応能負担」という原則をまったく無視した最悪の逆立ち税制です。

 しかも、外形標準課税の課税対象の大半は給与部分に課せられる仕組みとなっています。企業が人を雇って人件費がかさめば、それだけ増税となります。税額を減らすためにリストラを進める動機を強め、失業を増やし、ますます不況を加速することにもなります。

トヨタやサラ金など10社で

大企業 840億円減税

 一方、一握りの大企業は「法人課税の実効税率引き下げ」の恩恵を受けます。吉井氏は経常利益上位十社の減税額を試算して追及しました。

 それによると、上位十社の減税額は八百四十億円。トヨタ自動車一社だけでも三百二十億円の減税です。

 トヨタ自動車の法人事業税額は現行九百億円(推計)です。しかし、法人課税の実効税率引き下げで、所得課税部分が四百五十億円に半減するため、外形標準課税部分(百三十億円)をあわせても五百八十億円にしかならない計算です。

 小泉内閣は「国際競争力強化」などを口実に法人課税の実効税率引き下げを主張していますが、大手サラ金には減税、ものづくりの基盤を担っている中小企業には赤字でも増税です。中小企業が活性化しなかったら「国際競争力強化」も「経済活性化」も“絵に描いたもち”になります。

 


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