日本共産党

2002年7月14日(日)「しんぶん赤旗」

宮路副大臣の口利き問題

参院厚労委での参考人招致が必要なわけは


 帝京大学医学部入試への口利き問題について宮路和明厚生労働副大臣の辞職で決着をつける動きが政府与党内からでています。「時期が悪い」(青木幹雄参院自民党幹事長)など、参院厚生労働委員会での医療改悪法案の審議日程への影響を恐れてのことですが、副大臣辞職ですむ問題ではありません。四野党書記局長・幹事長会談で合意したように、同問題が発覚した参院厚労委での宮路氏らの参考人招致など真相解明が不可欠です。

不正の温存に

 自民党内には、宮路氏の口利き問題について「どこにもある話」などの同情論さえ出ています。しかし、人命をあずかる学生、将来の医師を養成教育する医学部の入試選抜に政治家としての影響力を行使することは、どこにでもあっていい話ではありません。旧知の仲だった大学の最高責任者に、支持者の依頼を受けて受験番号を通報した宮路氏の行為は、一点の曇りもあってはならない厳正、公正さが求められる入試そのものに疑惑を持たせることになりました。

 副大臣辞職で決着などというのは、「往々にしてある」(宮路氏)医学部入試疑惑にフタをし、不正を温存することになります。

 帝京大学は、医学部入試にかかわる寄付金集めで六十億円を超える不正所得、脱税が問題になっています。この不正のただ中に出てきたのが宮路氏の口利きです。寄付金疑惑では、受験生の父母と大学側の仲介者として国会議員の存在も報道されています。宮路氏は口利きを認める一方で、不正入試や裏口入学を否定しています。しかし、大学側とどういうやりとりがあったのかなど、洗いざらい明らかにする必要があります。依頼先の帝京大学総長とともに、真相解明のための参考人招致が必要です。

医療のゆがみ

 帝京大学医学部の付属病院は、医療ミス、医師のカルテ改ざんが問題になっている東京女子医大病院と同じように特定機能病院で、厚生労働省の強い管轄下にあります(東京女子医大病院は十二日に取り消し)。高度医療や研究事業など病院経営にもからむ密接な関係にあります。

 この監督責任の職にあったのが宮路副大臣。大学側が入試「口利き」のかわりに、お金以外のなんらかの見返りを求めてもおかしくはない立場に宮路副大臣はいたのです。

 寄付金問題にもあるように、不正な手段を使っても医学部に入り、医師になってお金もうけをしようとする構造が日本の医療のゆがみとしてあります。利益重視の医師がはびこれば、差額ベッド多用による収入源確保などもうかる医療で医療費を増やし、採算の合わない医療の切り捨て、財政危機の深刻化や患者負担増にもつながります。このゆがんだ構造にメスを入れることなしに医療改革はありえません。ここまで踏みこんで宮路副大臣の疑惑を解明することが、いま参院厚生労働委員会に課せられています。

 審議中の医療改悪法案でも、坂口力厚労相は今後の医療の「抜本改革」の柱として、医療の向上をかかげ、医師の質が問題になっています。この政府の立場に照らしても疑惑の解明は避けられません。(斉藤亜津紫記者)

 


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