2002年7月13日(土)「しんぶん赤旗」
医療改悪法案を審議している参院厚生労働委員会で、宮路和明厚生労働副大臣（自民党、鹿児島三区）の帝京大学医学部入学「口利き」の事実が、日本共産党の小池晃議員の質問（十一日）で明らかになりました。とんでもないことです。
こんな人物が副大臣をつとめる厚生労働省に、国民に重大な負担を強いる医療改悪案を提出する資格があるのか。宮路副大臣はただちに全容を明らかにすべきです。政府と自民党は、宮路副大臣の責任を明らかにすべきです。
驚いたのは、宮路副大臣が、「こういうのは往々にしてある。とやかくいうことではない」と開き直ったことです。まったく悪いことをやったという認識がありません。
十二日の同委員会の理事懇で、形ばかりの陳謝はしましたが、なおも不正だとは認めていません。文字通り感覚がマヒしているとしかいいようがありません。
小池議員が「これが不正でなく何が不正か」と迫ったように、事態は明白かつ重大です。
宮路氏が、政治献金をもらっている医療法人の支援者から頼まれて、帝京大学の冲永荘一総長にまだ入学試験も行われていないうちに受験者の受験番号を知らせた事実は、宮路氏秘書のメモという動かぬ証拠で証明されています。その受験者が医学部に入学した事実も明らかです。
政治献金と引き換えに大学のトップに入学の口利きをしたというのは、典型的な不正入学のあっせんではありませんか。
第一、宮路氏が入学の口利きをしたという今年一月末には、宮路氏はすでに厚生労働省の副大臣に就任していました。宮路氏の副大臣としての担当は厚生行政であり、医学部とは深いつながりがあります。宮路氏は「冲永総長とは先輩後輩の付き合い」といいますが、それですまされるはずはありません。
入学試験は何よりも公正が求められるものです。それをゆがめる「口利き」が政治家によって恒常的におこなわれているなら、それこそ大問題です。その重大性を認識せず、逆に居直るのでは副大臣としての資格が問われます。
しかも宮路氏が副大臣になった時期は帝京大の裏口入学をめぐって調査がすすめられていました。宮路氏にはそのことの認識も、自制を働かそうという気持ちもなかったのか。
宮路氏は小池議員の質問の前日、民主党議員に問われて、医学部は医療を担う医師の知識を習得させ、医師に必要な人格をかん養する場であり、「その学生の選抜あるいは育成にあたって不正があってはならない」と答弁していました。このことを百も承知で不正入学に手を染めていたとしたら、宮路氏の行為はどれほど糾弾してもし足りません。
いま、厚生労働委員会では、一兆五千億円もの負担増を国民に強いる医療改悪法案が審議されています。しかし、宮路副大臣にかかわる不正入学問題の究明は、委員会としても最優先課題です。
政府・与党の責任は重大です。小泉首相は、宮路副大臣を更迭する「考えはない」としています。
不正入学という社会的に許されない行為を、あっせんしていた疑惑で、副大臣を更迭しない。こんな小泉内閣のもとでの、国民に痛みを押しつける法案のごり押しは許されません。医療改悪法案は廃案にするしかありません。
