日本共産党

2002年7月11日(木)「しんぶん赤旗」

オオタカ──営巣地から姿消す

圏央道工事の近く ひなのふ化見られず

八王子


 圏央道(首都圏中央連絡自動車道)の建設工事が行われている八王子市の八王子城跡付近で、環境省や東京都の絶滅危ぐ種に指定されているオオタカが今年になって営巣を放棄した可能性が強いことが十日までに、自然保護団体の観察で明らかになりました。

 観察結果を明らかにしたのは「国史跡八王子城とオオタカを守る会」(椚国男会長)。同会によると、高尾山の北隣にある同城跡付近で、九六年三月に初めて営巣が確認されて以来、毎年春から夏にかけて営巣が確認されていたオオタカが、今年四月三日に巣を修理したのが確認されたあと、メス親が同月二十四日、オス親が五月九日を最後に確認されなくなりました。その後、ひながふ化し育つ六―七月に入っても、営巣していれば確認できる鳴き声やふん、食べた野鳥の羽や骨などが、周辺地域からまったく確認できなかったとしています。

 八王子城跡付近では圏央道の建設工事が行われており、同会では「繁殖期にトンネルの削岩工事による騒音、振動が周囲に響いていた。これらにオオタカが警戒して営巣を放棄した可能性が強い」としています。

工事が与えた影響は明白

 「国史跡八王子城とオオタカを守る会」の小池清副会長の話 八王子城跡では、毎年三羽がふ化する良好な環境があったが、圏央道のトンネル工事の開始とともに減りはじめ、ついに、営巣を放棄してしまった。エサになる小鳥やきれいな小川など、営巣の条件は残されており、山火事などの大異変がないかぎり、営巣放棄は考えられない。オオタカのすむ真下で、山の中心に向かって猛烈な勢いでボルトをうちこむなど、山全体をゆるがしてすすめた工事が営巣に与えた影響は、はっきりしている。私たちは当初から、工事の影響を指摘し、中止を求めてきたが、国の専門家検討委は「影響は少ない」などといって、工事をすすめてきた。営巣放棄という事態が生まれた以上、工事を即時中止し、改めて検討することを国に迫っていきたい。

 オオタカ タカ科の鳥で、全長約五十センチメートル(オス)、羽を広げると約一メートル(メス)になります。成鳥は頭から背、尾、翼の上面が灰黒色で、目の後ろは黒く眉斑(びはん)は白色で目立ちます。巣の大きさは直径約一メートル、厚さ約六十センチメートルで、四〜五月に産卵します。環境省のレッドデータブックで、現在の状態が続けば近い将来、絶滅の危機にひんする種となることが確実視される絶滅危ぐ種II類に指定。営巣地から半径一・二キロメートル内の「営巣中心域」は、繁殖期に人の出入りを原則中止すべきだとされています。

 


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