日本共産党

2002年7月9日(火)「しんぶん赤旗」

主張

住基ネット

八月実施は凍結するしかない


 すべての国民に番号をつけ、住民票の情報を全国的なコンピューター網にのせて一元管理するシステムの、「凍結・延期」を求める声がひろがっています。

 一九九九年の通常国会で自民、公明などが国民の不安に背を向けて強行した、住民基本台帳「改正」法にもとづくネットワークシステム(住基ネット)です。

 政府が実施するとしているのは来月五日です。自治体からも延期の声が相次いでいます。国民の合意がないまま強行するのは許されません。

国民合意ないままに

 住基ネットは国民一人ひとりに十一ケタの番号をつけ、氏名、住所、性別、生年月日とその変更情報を国と自治体が管理します。

 もともと、日本共産党は住基ネットの導入に反対してきました。何よりも個人のプライバシーを守るための保護措置が不備であるということです。

 国民の不安を受けて、当時の小渕恵三首相は「個人情報保護に関する法整備を含めたシステムを速やかに整えることが前提」と答弁せざるを得ませんでした。

 しかし、その個人情報保護の措置はいまだ未整備のままです。現在国会で審議されている個人情報保護法案は、行政に対しては罰則もないなど欠陥法案であり、民間に対しては報道・表現の自由を脅かす危険があるなど、廃案とすべき法案です。

 急速な高度情報通信化に伴い、個人情報の漏えいや流出、不正使用が深刻な社会問題になっています。住民票の情報と共通番号を全国ネットで結ぶこのシステムを導入するなら、大量の個人情報流出の危険が飛躍的に高まることは必至です。

 住基ネットの導入に伴い、システムのなかに、国の行政機関は完全に組み込まれます。便利な半面、国が個人情報を生まれたときから死ぬまで管理するシステムができあがる危険性は否定できません。

 政府は、住基ネット利用の行政機関や事務は限定されているから個人情報を一元管理することにつながらないといいます。

 しかし、政府は、利用事務の範囲を九三事務から二百六十四事務に増やす「改正」案を今国会に提出しています。パスポートの発給や厚生年金の受給、不動産登記、自動車の登録など百七十一事務を追加する方針です。

 利用範囲の拡大によって国民総背番号制につながる危険な道をすすんでいるのではないかとの疑念が起きているのは当然です。

 最近、防衛庁が情報公開制度を利用する個人の情報を調査し、悪用しようとして「防衛庁リスト問題」が問題になりました。

 利用する国の側に、防衛庁のリスト作成問題に象徴されるような組織ぐるみで国民を監視する体質があります。住基ネットは、プライバシーを監視するネットワークにさえなりかねません。

自治体から延期の声

 日本弁護士会の調査では、住基ネットの試験運転を行った自治体のうち三分の一近くでトラブルが発生しています。実施時期について「延期反対」は二割にとどまっています。

 共同通信の世論調査によると、83%の国民が八月五日実施を知らず、「延期、再検討」すべきだとする人も51%にのぼりました。

 利便拡大と個人情報保護をどう両立させるのかは重大問題です。住基ネットの八月五日実施は凍結し、改めて時間をかけて体制を整え、国民の合意を得るときです。

 


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