日本共産党

2002年7月4日(木)「しんぶん赤旗」

原発推進のエネルギー「基本法」って?


 〈問い〉 日本のエネルギー政策の「基本法」ができたそうですが、原発推進がねらいと聞いています。どういうことでしょうか。(東京・一読者)

 〈答え〉 この六月に成立したエネルギー政策基本法は自民党が議員立法として提出したものです。自民党は原発を推進する電力会社らの要請を背景に、昨年春、「エネルギー総合政策・七つの提言」を発表しました。この「提言」は、「原子力発電・原子燃料サイクルの着実な推進」を明記しています。「提言」の中でも「基本法」はその実現のための第一歩とされています。

 「基本法」は▽安定供給の確保▽環境への適合▽市場原理の活用―の三原則を、日本のエネルギー需給の基本方針としています。この三原則は原発増設・核燃料サイクル推進路線を念頭に置いています。「基本法」に原発という言葉はないものの、提案者も三原則で「原子力というのは重要な役割を果たす」「原子力政策というのが日本のエネルギー政策の中で非常に重要な役割を占めている、今後も占めていく」と答弁しました。

 そして、この三原則にのっとった施策を講ずる責務を、政府と自治体に負わせています。政府はエネルギー需給の基本計画を定め、毎年国会に報告することを義務づけられます。自治体も国の施策に準じて施策を講ずるとしています。

 この間、新潟県の巻町や刈羽村、三重県海山町と、住民投票で原発や核燃料サイクルが拒否されましたが、「基本法」が自治体に責務を負わせたことで、原発を自治体と住民に押しつける動きが強化されかねません。

 他方、発電コストの根拠も公表しないなど電力会社の不十分な情報公開も追認し、これまでのエネルギー政策への反省もありません。国民の合意形成も保障されません。石油に代わるエネルギーに「太陽光、風力等」を例示するなどの修正もありましたが、電力会社の利益擁護と原発推進という性格は変わらず、日本共産党はこの「基本法」に反対しました。

〔2002・7・4(木)〕

 


もどる

機能しない場合は、ブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp