日本共産党

2002年6月22日(土)「しんぶん赤旗」

新日鉄・今井会長を委員にしたのでは−−

ムダな道路建設解消できるか

道路4公団民営化推進委


委員長には今井氏互選へ

 小泉首相が二十一日、七人の委員を任命した「道路関係四公団民営化推進委員会」。ムダな高速道路の建設にほんとうにメスが入るかどうかが問われます。

 人選にあたって、作家の猪瀬直樹氏(行革相の私的諮問機関「改革断行評議会」の中心メンバー)が入ったことが焦点のようにいわれていますが、猪瀬氏は道路四公団の民営化推進論者で、「小泉首相は本気で改革をやる気だ」とこの日も首相の姿勢を最大限に評価しました。

 一方、委員長には、道路建設に関係の深い新日鉄会長の今井敬氏(旧経団連会長)が互選される見通しです。新日鉄といえば、中曽根内閣当時の「民活」路線にのり、今日、大赤字で苦しむ東京湾アクアラインを発案、推進した財界グループの中心企業です。

 こんごの審議は予断を許しませんが、小泉首相が今井氏を責任者にして審議し、結論をだそうとしているところに、この委員会の性格が表れています。

 そもそもこの委員会は「民営化を前提とした新たな組織及びその採算性の確保について調査審議し、内閣総理大臣に意見を述べる」(設置法二条)ところです。ムダな高速道路の個別路線の中止や継続を決める権限はありません。個別の高速道路計画の存否は、最終的には国土交通相が決めます。小泉首相が自民党道路族、与党の意向を受け入れ、個別路線の見直しは国交省の手に委ねたからです。

「第2東名は料金3倍必要」

 現在の高速道路の整備計画は九千三百四十二キロ、このうち約二千四百キロが未整備ですが、このほとんどが採算のとれない道路です。

 とくに約八兆五千億円、二千四百キロの建設費総額の四割も占める第二東名・名神について、建設の当事者、日本道路公団の藤井治芳総裁は「第二東名を単独で採算をとろうとしましたら、今の料金の三倍要ります」と公言しています(『高速道路と自動車』〇二年一月号)。こうした赤字必至の計画を凍結し根本的に見直す必要があります。

 こうした採算がとれない道路をつくりつづければ、すでに約四十兆円にのぼる道路公団の借金は雪だるま式に膨れ上がり、償還が不可能になり、料金引き上げか税金投入しかなくなります。

 同委員会が調査検討する「民営化を前提とした新たな組織」の形態では「上下分離方式もふくめて検討の対象になる」と石原伸晃行革相がのべました。道路公団の「上下分離」とは、民営化した会社が道路の維持・管理をして、道路の建設・保有は公的機関にするというものです。

 この方式だと民営化した管理会社は借金から解放され銀行・大企業のもうけの対象となりますが、建設の借金は道路保有の公的機関にのこり、道路をつくりつづけることになります。つけは「国鉄分割民営化」のように最後は税金による穴埋めとならざるをえません。

 (山沢猛記者)

 


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