日本共産党

2002年6月18日(火)「しんぶん赤旗」

鈴木議員 逮捕許諾請求

捜査当局を動かした日本共産党の追及


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「ムネオ疑惑」追及の突破口を開いた日本共産党・佐々木憲昭議員の質問=2月13日、衆院予算委

 北海道開発庁長官、官房副長官、自民党総務局長、党対外経済協力特別委員長など、党と政府の要職を歴任するにつれ、利権の範囲も底なしに広げてきた鈴木宗男衆院議員。日本共産党は“疑惑の百貨店”といわれる同氏の「政治とカネ」の問題を徹底追及し、参考人招致、証人喚問と国会での解明を進めてきました。その追及が捜査当局を動かしました。

ムネオハウス疑惑が突破口

 「税金の還流だ」。佐々木憲昭衆院議員が国会で「鈴木さん あなたは私たちの友達です」の写真パネルを掲げて疑惑追及の端緒を開いたのが、国後島「ムネオハウス」(友好の家)疑惑でした。

 税金を使った「北方四島」支援事業を自分の後援企業に受注させ、多額の献金を受け取る…。支援事業の受注企業と政治資金の流れについての綿密な調査をもとに、佐々木氏が「おかしいと思わないか」と詰め寄ると、小泉首相も「よく調査しなきゃいかん」といわざるを得ませんでした。

 さらに鈴木氏を追いつめたのが、ムネオハウスの入札業者を自分の選挙区の「根室管内に限定してどうか」とのべた外務省の内部文書でした。佐々木氏は、鈴木氏の参考人招致の当日朝に届いた「秘 無期限」文書を示し、入札参加資格をゆがめたからくりを暴きました。こうした党の質問で外務省は内部文書の存在を認め、調査報告書(三月四日)を出さざるを得なくなりました。

 ムネオハウスを突破口に桟橋改修、はしけ、ディーゼル発電施設などをめぐる支援事業疑惑について、木島日出夫衆院議員、小池晃、小泉親司両参院議員らが連日、根拠を示してさまざまな角度から追及しました。

 今回の逮捕許諾請求との関係でも、国会論戦で重要な答弁を引き出しています。木島氏は、ムネオハウス入札にかかわる質問で「わいろとしての対価性は政治資金規正法上の届け出の有無とはかかわらない」(法務省刑事局長)ことを確認。政治献金として処理された資金でもわいろと認定されれば、「やまりん」事件以外にも容疑が波及する可能性があります。

ODA私物化「宗建会」…

 日本共産党は「北方四島」支援事業以外にも次々と鈴木氏の疑惑をとりあげ、“疑惑の百貨店”の実態を浮き彫りにしました。佐々木氏は、ケニアのソンドゥ・ミリウ水力発電計画に関して、ODA私物化の実態を追及。鈴木氏が官房副長官時代にケニアを訪問し「自分が帰国次第…迅速な検討を進める」と約束したほか、アフリカODAの受注企業から六年間で約七百万円の献金を受け取ったことを告発しました。

 一九九八年に北海道矢臼別演習場で実施された米軍実弾演習の施設建設などにかかわる疑惑では、鈴木氏の行政私物化が防衛庁にも及んだことを明らかにしました。鈴木氏は防衛施設庁が発注した物品調達業者から三年間で約二百万円、施設建設の受注業者から六年間で約三千八百万円の献金を受けていました。

 また緒方靖夫参院議員は、鈴木氏の後援団体「宗建会」に加盟するゼネコンが北海道の根室・釧路管内の公共事業を優先的に受注し、会員企業が鈴木氏に四年間で計約三千五百万円を献金していたことを追及。児玉健次衆院議員は、鈴木氏が自民党候補落選の見せしめに、北海道開発局(当時)に圧力をかけて関係自治体での農地整備事業を凍結させていたことをただしました。

鈴木宗男議員をめぐる動きと日本共産党の追及

 1月20日 鈴木議員がアフガニスタン復興支援会議への一部NGO(非政府組織)代表参加に圧力をかけたことが分かる

 1月29日 小泉首相が田中真紀子外相と野上義二外務事務次官を更迭。鈴木氏は衆院議院運営委員長を辞任

 2月13日 衆院予算委で佐々木憲昭議員が「ムネオハウス」など「北方四島」支援事業の私物化と受注企業からの献金還流を追及

 2月20日 衆院予算委参考人質疑で佐々木氏が「秘 無期限」の外務省文書を示し、「ムネオハウス」の入札をねじまげた鈴木氏の発言を指摘。鈴木氏は「外務省から説明があった記憶はある」と認める

 2月21日 衆院予算委で木島日出夫議員が「北方四島」支援事業受注企業から鈴木氏への政治献金とわいろとしての対価性についてただす。法務省は「対価性は職務との関連があるかの事実による。政治資金規正法上の届け出の有無とはかかわらない」と答弁

 3月4日 外務省が鈴木氏の「異常な関与」を認める報告書を発表

 3月11日 衆院予算委で鈴木氏の証人喚問。佐々木氏の追及に「ムネオハウス」建設で地元業者を使うよう関与したことを認める

 3月15日 鈴木氏が自民党を離党

 3月19日 志位和夫委員長が鈴木氏関与の日ロ領土交渉での二重交渉を裏付ける秘密会談記録を公表

 3月20日 衆院議院運営委員会で野党が提出した鈴木氏の辞職勧告決議案の本会議上程を与党が否決

 4月30日 鈴木氏の公設秘書、宮野明容疑者ら7人が「ムネオハウス」建設をめぐる偽計業務妨害容疑で逮捕される

 5月14日 外務省の佐藤優前主任分析官ら職員2人が背任容疑で逮捕される。衆院議運委で鈴木氏の辞職勧告決議案の本会議上程を与党が再度否決

 5月23日 東京地検特捜部が政治資金規正法違反容疑で鈴木事務所や自宅などを捜索

 6月7日 特捜部が鈴木氏の有力後援企業2社を政治資金規正法違反容疑で捜索

 


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