日本共産党

2002年6月17日(月)「しんぶん赤旗」

チェコ総選挙 共産党が躍進

17増、41議席で第三党

第一党の社民党は4減


 【プラハ16日岡崎衆史】チェコ下院議会選挙(定数二百、比例代表制)の投票が十五日、終了し、チェコ・モラビア共産党が唯一得票率、議席ともに前回一九九八年選挙よりも大幅に伸ばして躍進しました。同党の得票率18・51%は、一九八九年の体制転換後行われた下院選で最高を記録。前回11%から大幅増、議席も二十四議席から四十一議席に増え、第三党になりました。

 一方、単独与党で中道左派の社会民主党は、得票率と議席を減らしながらも第一党を維持しました。

 野党第一党で、中道右派の市民民主党は、得票と議席を減らし、同党のクラウス議長(チェコ前首相)は敗北を認めました。

 社民党と共産党を合わせた議席は過半数を超えました。

 開票率99・8%時点での選管暫定発表によると、第一党の社民党の得票率は、前回九八年選挙の32・3%から下がって30・2%、議席も七十四議席から七十議席に減少しました。第二党となった市民民主党の得票率は、前回27・7%から24・47%、議席は六十三から五十八に減りました。中道政党のキリスト教民主連合、自由連合から成る「連合」は、得票率14・27%、三十一議席で、第四党でした。

 投票率は58%で、前回74%より大幅に下がりました。

 共産党のグレベニーチェク議長は「国民が左派、社会的公正、社会保障を求めて投票したことは明らかだ」と述べ、中道左派政権の樹立に意欲を示しました。一方、社民党のシュピドラ議長は、共産党との連立を拒否し、「連合」との連立を目指す意向を明らかにしています。

「雇用創出、住宅確保」に支持

 チェコ下院議会選挙でチェコ・モラビア共産党以外の各党が一九九八年の前回選挙と比べて得票と議席を減らしたこと、投票率が大幅に下がったことは、政権維持のため協定を結び、党利党略を優先させてきた単独与党の社民党と野党第一党の市民民主党の二大政党に有権者が強い不信を示した結果といえます。

 社民党単独の少数政権だったゼマン政権は、野党第一党の市民民主党と「内閣不信任投票を行わないこと」を協定。そのおかげで四年の任期を全うすることができたものの、主義や政策の異なる大政党同士による政権維持を主眼にした協力や妥協は、「政治不信を生み出す原因」(プラーボ紙のミトロファノフ記者)となり、支持者を失うことにつながりました。

 加えて、九八年の5・9%から今年五月には8・6%と上昇した失業率、貧富の差の急速な拡大、国内総生産(GDP)の5・5%にも拡大した財政赤字(昨年)など、経済問題も国民の懸念材料となっていました。

 唯一得票率を伸ばした共産党は、二大政党のなれ合いを批判するとともに、三十万の新規雇用創出、労働条件の向上、住宅確保のための支援、福祉水準の維持、早ければ二〇〇四年に予定される欧州連合(EU)加盟の際、国民の利益を重視することなどを有権者に訴えました。これが、失業者や年金生活者、労働者を中心に、急速な市場経済化の恩恵に浴していない人々や生活水準が悪化した層に支持を広げることになりました。

 社民党は、四年前の誕生時に危機に陥っていた同国の経済状況を立て直し、労働法改正によって労働条件をある程度改善しました。その結果、第一党を維持したものの政治不信や生活水準の悪化を訴える有権者の不満を払しょくすることはできず、得票率、議席を減らしました。クラウス前首相率いる中道右派の市民民主党は、所得税率と間接税率を一律15%にするなど、極端な経済の自由化を主張したため、負担増となる中流以下の有権者の反発を招きました。(プラハで岡崎衆史)

 


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