日本共産党

2002年6月15日(土)「しんぶん赤旗」

有期雇用の契約延長狙う財界・大企業

原則1年を5年に

外国人労働力を視野に

雇用流動化と労働条件低下に拍車


 労働条件にかかわる制度のありかたを検討している厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会。有期雇用(契約社員やパートなど期間を定めた働き方)の契約期間をめぐる議論のなかで、原則一年の規制緩和を主張する委員が、その目的の一つとして外国人労働者の雇用拡大をあげました。


 この発言は、議事録がこのほど公開された委員による懇談会(第十五回の委員出席が少なく懇談会に変更、3月26日)でのもの。「日本の人口はどんどん減っていくわけだし、優れた外国人を活用することが大事になっている。『三年は保障するからきてくれ』『五年保障するから頑張ってくれ』といったら一生懸命働いてくれる。人の移動をもやりやすくすることがグローバリゼーションの大事な部分なのです」と有期雇用の五年への延長を主張しています。

 財界・大企業は、大規模リストラによって正社員を削ぎ落とし、低賃金の契約社員やパートなど不安定雇用に置き換えることによって総額人件費を抑え、国際競争力を高めるとの戦略をすすめています。派遣労働の全面解禁とともに有期雇用の制限緩和は、その柱です。すでにパートや派遣など非正規雇用は全労働者の27・5%を占めるまでに増大しています。平均賃金は十四万八百円という低水準です(九九年)。

 労働条件分科会での発言は、正社員の非正規社員への置き換えの対象として、さらに“安上がり”な外国人労働者を視野に置いていることを示しています。

 日本における外国人就労者は厚労省の調査によると推計七十一万人(二〇〇〇年)。うち政府が積極的に受け入れるとしている専門・技術的分野の労働者は十五万人で、三分の一は「興業」を目的にしたものです。二十三万人の日系人、二十三万人の不法残留者の多くが、「単純労働」に就いており、劣悪な労働条件下で働いています。

 財界の要請をうけて政府が三月末に閣議決定した規制改革三カ年計画は、外国人採用について法制度の見直しを求めています。財界は、約四億七千万人といわれるアジアに潜在する余剰労働力に魅力を感じるのでしょう。

 もちろん、外国人労働者の秩序ある受け入れのための法整備や日本で働く外国人労働者の権利保護のための対策は必要です。専門的・技術者の受け入れ、交流はアジア地域の経済発展に役立つとの研究報告もあります。

 しかし、財界や大企業が求めているのは労働条件分科会での発言のように、非正規分野での外国人労働者の就労です。現状でも、外国労働者の多くは単純労働に就いていることから「労働市場における二重構造の発生、景気変動に伴う失業問題の発生」などの問題点が指摘されています。日本の雇用流動化をさらに促し、労働条件の低下をはかろうとする財界の思惑を許してはなりません。

 


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