日本共産党

2002年6月14日(金)「しんぶん赤旗」

医療改悪、有事法案 いまが正念場
会期延長許さず、悪法を廃案へ

6・13中央集会での市田書記局長のあいさつ

(大要)


 日本共産党の市田忠義書記局長は十三日、東京・日比谷野外音楽堂でひらかれた中央集会であいさつしました。大要を紹介します。


 みなさん、こんばんは。日本共産党の市田です。

 「医療の大改悪反対」「有事法制を許すな」と、あつい思いで全国から集まられたみなさんに、日本共産党を代表して心から連帯のごあいさつを申し上げます。(拍手)

事実の隠ぺいとうその報告――小泉内閣に悪法ゴリ押しの資格なし

 国会は、六月十九日の会期末をひかえて、大変緊迫した状況をむかえつつあります。

 一昨日、防衛庁がいわゆる個人情報リスト問題で、調査報告書なるものを発表いたしました。しかし、その内容はまったくでたらめであり、三十八ページもの報告書をわざわざかくして、わずか四ページの概要を調査報告書と称して、国会と国民をあざむきました。

 彼らは、国民の思想調査をおこなうのは、きわめて熱心ですが、自ら犯した重大問題についてはまともに調査する姿勢も能力もまったく持ち合わせないことを示しました。しかも重大なことは、事実の隠ぺいと偽りの報告に、与党三党の幹事長が関与し、圧力をかけていたことが明らかになったことであります。これではみなさん、防衛庁と与党が、戦前の大本営と同じだといわれてもしかたがないではありませんか(「そうだ」の声)。断じて許すことができません。(大きな拍手)

 昨日の野党四党の幹事長・書記局長会談では、これは、国権の最高機関である国会を冒とくする行為であると断じるとともに、事実関係と責任の所在を明らかにすることが最優先であり、そのことぬきにいかなる国会審議もありえないことを一致して確認をいたしました。

 いま、私は与野党幹事長・書記局長会談を終えてここに駆けつけてまいりました。じつは、与党の側から、きょう、防衛庁の個人情報リスト問題について説明がしたいといってきました。説明するなら聞こうということで四野党が出席をいたしました。しかし、まともに説明する気などまったくありません。開きなおりでした。たとえば、自民党の山崎幹事長は「あの全文は、国会用の説明資料として扱えばいいという意見をのべただけであって、圧力なんてかけてない」。しかし、みなさん、これを世間では圧力というんではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)

 しかも公明党の冬柴幹事長に、「あなたはどういったのか」と質問したら、「いちいち、どのようにだれがいったか、答える必要はない」。これが彼のいい分でした。

 そして、「最初に与党三党の幹事長に配られたペーパーには何とかいてあったか」。野党側がそう質問すると、答えられなくなりました。じつは、報告書概要とかいてあったんです。すなわち、全文はほかにある、ということをよくよく知って、概要とかいてあったのをその概要という文字を消すことまでやったんです。

 ところが、冬柴氏は「読み上げられたのをきいていただけで、文書をよく見なかった」ということをいいました。(「えーっ、うそだ」)

 しかもみなさん、与党三党の幹事長はきょう会談をやって、この防衛庁リスト問題についてわれわれ野党に説明すると同時に、あすの委員会で健保改悪法案の強行採決をやるということまで意思統一している。この態度は、絶対に許すわけにはまいりません。

 だいたい、国民を敵視して監視の対象とするとともに、事実の隠ぺいとうその報告で国会と国民を冒とくする小泉内閣と与党に、有事法制や医療改悪などをそもそも提案する資格も、ゴリ押しする資格もないことは、もはや明々白々ではないでしょうか。

 いま、政府・与党は大変追いつめられています。野党の結束も強まっています。

 昨日の四野党会談では、有事法制、医療改悪法案などを廃案に追いこむとともに、悪法ゴリ押しのための会期延長には断固反対することも、あらためて再度確認しました。これまで国論を二分するような大問題で、その廃案をめざして野党が一致結束してたたかう状況が生まれたことはなかったことであります。きわめて画期的なことだと思います

 しかし、同時に、ここで気をゆるめるわけにはいきません。与党は医療改悪法案については、先ほど申し上げたように、あす十四日に委員会採決を強行するかまえであります。他の悪法についても、会期延長をふくめて、強行の姿勢をくずしていません。

 すべての悪法を廃案に追いこみ、強行をはかる勢力にとって、これを出してきたことが、かえって逆に打撃となるような、そういうところにまでみなさん追いこむために、いっそうたたかいを発展させようではありませんか。(拍手)

草の根からの運動が小泉内閣を追いつめている

 小泉内閣があらゆる分野で統治能力を失い、追いつめられているのは、的確で鋭い国会論戦とともに、草の根からの国民のたたかいがあったからであります。

 医療の大改悪には、医師会、老人クラブ、連合なども負担増に反対の声をあげるなど、多面的な活動が発展しています。反対署名はじつに二千六百万、国民の五人に一人が署名するという未曽有の規模になっています(拍手)。六百近い自治体が反対決議をあげました。

 私が先日出演したサンデープロジェクトで紹介された世論調査では、政府がどうしても通したいトップにあげている医療改悪法案に反対する声が一番多かったのは皮肉でした。年間一兆五千億円もの負担増になることを明らかにした、わが党の小沢議員が昨日の委員会で、「負担増になってもいいという結果の世論調査がひとつでもあるのか」とたずねると、坂口厚生労働大臣は「残念ながら私の手元にはございません」(笑い)。そうとしか答えられませんでした。

 有事法制はどうでしょうか。陸・海・空・港湾関係労組と宗教者のみなさんがよびかけた五月二十四日の大集会は四万人をこえる人々が参加しました。短期間に全国三百の自治体・地域で連絡会議などの共闘組織がつくられました。自覚的勢力を先頭に、連合系労組や青年・学生、女性、市民・中小業者、業界団体、学者・文化人など、立場をこえた共同が急速に前進し、うねりのようにいま広がりつつあります。

 日本経済新聞の世論調査(五日付)では、賛否が逆転し、反対がうわまわりました(拍手)。宗教年鑑によれば末寺八千八百、五百五十万人の門徒をもつ真宗大谷派の宗議会が有事法案の撤回を求める決議をおこないました(拍手)。決議はこうのべています。有事法案は、「戦争放棄を明記する憲法に違反し、すべてに軍事を優先させ、市民の人権を根こそぎ破壊し、国民を戦争にかりたてるもの」であり、「国を守るとしながら、実は国民総動員を企図するものに他ならず」、「小泉首相・政府、国会議員各位が有事法案を撤回し断念せられることを強く求めるものであります」。(拍手)

 みなさん、私たちはこの法案が海外での武力行使法であり、国民の強制動員法であるという本質をこれまで明らかにしてきました。加えて、有事法案の二人の担当大臣は、「非核三原則」見直し発言と防衛庁リスト問題でボロボロであります。法案の中身と答弁も審議すればするほど、ボロボロであります。二つのボロボロが重なりあっている(笑い)。武力攻撃事態の定義すらまともに説明ができない。地方公聴会では自民党、公明党推薦の公述人までが批判的意見をのべました。

 ここまでくれば、みなさん、廃案以外に道はないではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)

 今後のたたかいいかんでは、悪法を廃案に追いこむ可能性が生まれています。同時に、政府・与党は会期延長してでも強行する姿勢をくずしていません。たたかいはいまがまさに「正念場」であります。不当な会期延長を許さず、悪法の息の根をとめるところまでたたかいを強めようではありませんか。(拍手)

一枚のビラが、一筆の署名が歴史を動かす――解散・総選挙に追い込もう

 六月十六日には、東京・代々木公園で陸海空港湾労組などの主催で、大集会が開かれます。この集会を明治公園を上まわる規模で成功させるとともに、全国津々浦々で、宣伝、対話、学習、署名、デモなどにとりくみましょう。

 一枚のビラが、一筆の署名が、そして対話が情勢をきりひらき、歴史を動かします。

 小泉内閣が発足して一年余りがたちました。やるべきことはやらずに、憲法と平和、くらしと民主主義の破壊など、やってはならないことばかりやってきました。

 先日、私たちが開いた日本共産党の第四回中央委員会総会は、小泉首相には、もはや統治能力はない。「自民党を変える」といって国民を欺いた小泉内閣の責任を明確にし、すみやかな解散・総選挙によって国民の審判をあおぐことを強く要求いたしました。小泉内閣の悪政と悪法に反対する国会内外でのたたかいを、さらに強め合流させて、解散・総選挙に追いこもうではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)

 日本共産党は、みなさんと力をあわせて、最後まで全力をあげてたたかいぬく決意を表明して国会報告と連帯のごあいさつとします。ごいっしょにがんばりましょう。(拍手)

 


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