日本共産党

2002年6月8日(土)「しんぶん赤旗」

「広く薄く」と大増税

外形課税検討など

首相が「税制改革」指示


 小泉純一郎首相は七日、経済財政諮問会議(議長=小泉首相)で二〇〇三年度の経済・財政運営の方針を示しました。首相は、〇三年度予算の一般歳出と一般会計歳出を実質的に今年度以下にすることをめざすよう指示。歳出抑制には凍結中の年金給付の物価スライド実施による給付水準の引き下げが含まれます。

 焦点の「税制改革」については、財界が要求する法人課税の実効税率引き下げを指示。赤字の中小企業にも課税する外形標準課税を法人事業税に導入するなど、「広く薄く」の名で大企業・大金持ち優遇と国民への大増税の方向を示しました。

 会議後、小泉首相は政府税制調査会の石弘光会長と会談。(1)法人事業税の外形標準化を通じた法人税の実効税率引き下げ(2)生前贈与の課税軽減による、親から現役世代の子への資産移転にたいする減税措置(3)研究開発投資にたいする減税措置(4)配偶者特別控除や扶養特別控除など所得の人的控除の廃止・縮減(5)免税点引き下げや簡易課税制度見直しによる消費税の「益税」解消の検討を指示しました。


解説

「応能負担」ふみにじる

 経済財政諮問会議で小泉首相が示した「税制改革」の方向は、「広く薄く」を“理念”に、大企業や大金持に能力に応じた負担を求める「応能負担」の原則を乱暴に踏みにじり、生活や営業に最低限必要な収入にも税をかける露骨な内容です。

 法人課税では、法人事業税への外形標準課税の導入が急浮上しました。現行の法人税率は、財務省でさえ「世界水準」に下がっていると説明しています。そこで、地方税の法人事業税の負担を減らすことで、法人課税の実効税率(国税と地方税)を下げようというものです。

 現行の法人事業税は、所得が課税標準で赤字の中小企業は税金を払う必要はありません。外形標準課税にすれば、基本的にすべての企業が事業活動の規模(給与額、支払い利子、賃借料など)に応じて課税対象になります。財務省の資料では、所得部分の税率は現行9・6%から半分の4・8%に下がります。

 所得税では、配偶者特別控除など人的控除の縮小で、課税最低限が下がり、低所得層への新たな課税と増税です。消費税でも、現実的な根拠のない「益税」攻撃で、税率引き上げの地ならしをねらっています。(石井光次郎記者)

 


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