日本共産党

2002年6月5日(水)「しんぶん赤旗」

土壌汚染対策法が成立したが…


 〈問い〉 こんど成立した土壌汚染対策法には、実効性に疑問の声も聞かれます。どう考えたらいいのでしょうか。(三重・一読者)

 〈答え〉 政府が提出した土壌汚染対策法は五月二十二日、参院本会議で全会一致成立しました。これまで有効な法規制がなかった市街地や工業地域で、はじめて土壌汚染の調査や浄化を義務付けたものです。日本共産党は政府原案には賛成しましたが、より実効性ある制度にするため、民主党など他の野党とも共同し、衆院・参院でそれぞれ修正案を提出しました。いずれも否決されています。

 近年、重金属や有機塩素系化合物など、有害物質の土壌汚染判明が続出しています。二〇〇〇年度の環境基準を超えた汚染土壌判明は百三十四件と、一九九一年以降で最多です。その多くが工場跡地の再開発などで判明したものです。

 対策法は、有害物質を扱っていた工場が廃業したり、宅地などに用途を変更する場合に、土地所有者に対して指定調査機関による土壌汚染調査を定めています。周辺の汚染発見などで都道府県知事が健康被害の恐れを認めた場合も、調査できます。

 また対策法は、都道府県知事が汚染土壌除去を土地所有者に命ずることができ、所有者は除去費用を汚染原因者に請求できるとしています。

 しかし、操業中の工場敷地内は、法による土壌調査の対象になりません。土地が工場から工場に移転する場合も、調査は義務付けられません。地下水など周辺の汚染が見つかった場合でさえ、住民が飲用に使うなど健康被害が差し迫っていなければ法による調査の対象外です。

 このように操業中の工場敷地に規制が及ばないことは、汚染防止の大きな障害です。汚染は広域に拡散すると浄化が困難となります。また工場から工場への土地移転で土壌調査を義務付けないことは、汚染原因者の特定を困難にしかねません。国会は付帯決議で、汚染の未然防止措置の早急な検討などを政府に求めています。

)〔2002・6・5(水)〕

 


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