日本共産党

2002年5月26日(日)「しんぶん赤旗」

今週の国会

有事法案の公聴会日程

白紙撤回求め攻防


 国会は六月十九日の会期末まで三週間余となりました。実質審議ができるのは土、日を除くと残り十八日。有事三法案や医療改悪法案など悪法の“渋滞状態”です。「法案が通るよう十分な(審議)時間が必要だ」(福田康夫官房長官、二十四日)。政府・与党内では、会期延長問題も浮上してきました。

重要法案などの審議状況
 委員会審議入り審議時間
医  療
改悪法案
4月26日5月22日まで4日間
約19時間
有事法制
3 法 案
5月7日5月24日まで6日間
約34時間
個人情報
保護法案
5月17日5月22日まで2日間
約6時間
人権擁護
法案
4月24日に参院本会議で趣旨説明・質疑
郵政関連
法案
5月21日に衆院本会議で趣旨説明・質疑
あっせん利得
処罰法改正案
5月22日に委員会で提案理由説明
(審議時間は、有事特別委員会での公聴会開催
強行決定以降の与党の単独審議を除く)

 有事法案について、与党は二十一日の衆院有事法制特別委員会で、地方・中央公聴会の日程を単独で強行議決しました。

 法案の月内衆院通過という「出口」を決め、それに合わせて公聴会日程を決めるという議会制民主主義のルールを破る暴挙でした。このため二十一日以降の各委員会の審議はストップする事態になりました。

 日本共産党、民主党、自由党、社民党の四野党党首は二十三日に会談し、「一致結束して、政府・与党の暴挙に対して断固対決していく」ことで合意。国対委員長会談では、具体的に公聴会日程の白紙撤回を求めていく方針を確認しました。

 公聴会設定の強行は、マスコミの世論調査(「朝日」二十一日付)で、有事法案について政府が「あまり説明していない」(62%)、「全く説明していない」(9%)と感じる人が七割に達する中で行われました。

 与党内からも、強行議決に公然と「拙速」の声が噴出。小泉純一郎首相は、自民党の山崎拓幹事長に、有事法案は「国民的コンセンサスを得る必要がある」と指示せざるを得なくなりました。

 小泉首相の指示の背景には、内閣支持率がいっそう下落する中、有事法案による国会混乱で、「構造改革の本丸」と位置付ける郵政関連四法案が成立しない事態を避ける狙いがあるともいわれています。

 こうしたなか自民党は、地方公聴会を中止し、中央公聴会も延期せざるをえなくなりました。

 しかし、それはあくまで「延期」。与党は中央公聴会を予定していた二十七日に与党だけで質疑をする日程も単独で決めています。

 週明けの国会は、公聴会日程の白紙撤回を求める野党側に、与党がどのような対応をするのかが大きな焦点になります。四野党党首は二十七日、与党の暴挙を糾弾する共同の街頭演説を行います。

他の重要法案

 与野党の攻防は他の重要法案を扱っている各委員会の審議にも影響しています。

 サラリーマン本人の医療費三割負担など空前の国民負担増を押しつける医療改悪法案は、衆院厚生労働委員会で野党が二十二日に一般質疑を行って以来、ストップしています。

 同法案は予算関連の法案であるため、「早く参院に送って成立を」(自民国対幹部)の声も。自民党理事は参考人質疑も言いだしています。

 郵便事業への民間参入を認める信書便法案など郵政関連四法案は二十一日の衆院本会議で趣旨説明・質疑を行いました。しかし、付託先の衆院総務委員会では審議すら始まっていません。

 報道・表現の自由を脅かす個人情報保護法案は先週二十二日に衆院内閣委員会で審議しましたが、民主党の質問に政府が納得できる答弁をせず、自由、共産、社民各党の質問時間を残したまま中断しています。

会期延長論も

 小泉首相は郵政関連法案が委員会で審議すら始まっていない下で、「大幅に会期を延長してでも、重要法案をすべて成立させたい意向」(与党筋)とされます。

 一方で、与党内では、国会終了後の党役員人事や内閣改造で主導権を握ろうとする思惑から「処理する法案を絞り込み、延長も小幅にとどめるべきだ」(自民党幹部)との声も上がっています。

 与党は今週中にも今国会で優先処理する法案や延長幅について調整する方向です。

 


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