日本共産党

2002年5月20日(月)「しんぶん赤旗」

変革の時代 21世紀、世界にはどういう力が作用するか

学者・研究者党後援会全国交流集会 不破議長が講演


 学者・研究者、大学教職員・院生の日本共産党後援会の全国交流集会が十九日、東京都内で開かれ、三十都道府県から百九十人が参加しました。全国の会が結成されて二十年の節目の年ということで、日本共産党の不破哲三議長が「二十一世紀の出発点に立って」と題して記念講演をおこないました。参加者からは講演後、質問する手が次々とあがり、不破さんが一つひとつていねいに答えました。

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学者・研究者、大学教職員・院生の日本共産党後援会員が集った全国交流集会=19日、東京・千代田区

 不破議長は、冒頭、結成以来の二十年を、「波乱とか激動とかありきたりの言葉では言い尽くせない、深い歴史的内容をもった二十年だった」とふりかえり、その間の選挙戦などでの支援・協力への感謝を述べるとともに、「一つひとつの選挙戦を見れば前進も後退もあったが、そのすべてを含めて、確実に未来につながる歴史をつくってきた実感と確信がある」と語りました。

 そして、「きょうは、広く各分野の研究者の方がたのお集まりの機会だから、当面の情勢というより、新しい世紀と私たちの世界観といった問題について話したい」、「二十一世紀は、われわれの世界観の有効性、真実性がいよいよ試される時代となるのではないか」として、本題に入りました。

科学的な世界観が自然研究者の共通の見方になりつつある

 不破氏はまず自然認識の問題をとりあげて、次のように語りました。「十九世紀以来、科学は飛躍につぐ飛躍の発展をとげてきたが、マルクス、エンゲルスの時代、レーニンの時代には、科学者自身のあいだにも、自然認識の限界や外界の実在性が問題になるなど、疑問や動揺があった。しかし、二十一世紀を迎えたいまでは、世界観としてとらえているかどうかは別として、第一線の多くの研究者が、自然の唯物論的な性格について、また世界の奥底にまで浸透してゆく人間の認識の前途について、共通の認識をもって研究をすすめていることに、深い印象を受けている。それぞれの分野での創造的な仕事と同時に、現代の自然認識の総括として、科学的な世界観を多くの人々のものにしてゆく活動にも、努力してゆきたい」

 続いて、社会の問題、世界と日本の問題を取りあげた不破氏は、マルクスが指摘した資本主義の矛盾と限界が、いま恐慌・不況の問題、地球環境の問題、南北問題などに、多角的に、かつきわめて深刻に現れていることをあげて、「いま資本主義は、世界の管理能力、地球の管理能力を問われる深い危機の時代を迎えている」と指摘したうえで、「きょうは、その先について少し話したい」と述べました。「その先」とは、「二十一世紀の世界では、資本主義をのりこえる変革的な力として、どんな力がはたらくだろうか」という問題で、不破氏は、世界的規模ではたらく三つの流れを提起しました。

「社会主義をめざす」国ぐにとアジア・アフリカ・中東・ラテンアメリカでの流れ

 一つは、二十世紀の大変動のなかで存続をかちとってきた「社会主義をめざす」国ぐにの問題です。不破氏は、ベトナム、中国の「市場経済を通じて社会主義に前進する」という取り組みを評価し、日本共産党がこれらの国ぐにの指導集団とどんな関係にあるかについて、自身の体験をまじえながら、語りました。

 もう一つは、「アジア、アフリカ、中東、ラテンアメリカの広大な世界が、資本主義の枠内では自主的な発展の道を見いだせないことが、二十世紀の全発展を通じて明らかになった」という問題です。不破氏は、ケネディ政権以来、アメリカがとってきた“資本主義の道にたってこそ、おくれた国の近代的発展が可能になる”という「進歩のための同盟」計画が、全体としては大きな失敗に終わったと述べ、最近のカストロ演説が、キューバとその他のラテンアメリカ諸国の水準を比較して、教育と医療の面で、だれが進歩の道に立っているかを事実で訴えたことも紹介。「ポスト資本主義を探究する声や要求が、どういう形で人類の社会主義的未来と結びついてゆくかは、簡単には予測できないが、この広大な地域にこの世紀に従来の枠組みをこえた新しい動きが起こってくることは、確実だ」と強調。そのなかで、科学的社会主義の流れとしては、インドで、共産党(マルクス主義)を中心とした左翼政権が、人口八千万を超える地域(西ベンガル州)で、すでに二十四年も統治の立場についていることに、注目する、と述べました。

発達した資本主義諸国―日本共産党が重要な地位をしめている

 最後に、発達した資本主義諸国の問題です。「ここは、矛盾の根源をになう地域で、支配体制の矛盾は深刻だが、変革をめざす運動の側の諸条件は悪い」と状況をまず述べたあと、不破氏は、以前には、共産党が資本主義世界で最大の力をもつといわれていたイタリアとフランスで、この十年来、どんな変化が起こってきたかを、最近の選挙の実情もふくめて紹介。「こうした大後退の根底には、ソ連覇権主義の影響の深刻さがあり、それはソ連が解体したということで、過去のものになる性質のものではなかった」と指摘し、そのなかでの日本共産党の地位について、次のように述べました。

 「サミット参加国のなかで、共産党が、二十世紀後半の歴史の試練にたえて強固な立場をまもりぬき、国政でも一定の政治的地歩をかちとり、二十一世紀を発展的に展望する党として存在しているという国は、日本以外にない。日本共産党が二十世紀にかちとってきたものは、それだけ大きな意義があるし、その責任もまた大きい」

 最後に、日本の情勢について、「どうしても見ておくべき点」として、最近の諸事件などの解説もまじえながら語った不破氏は、「この話が、いくらかでもみなさんの政治的・理論的活動の参考になればありがたい」と述べて、講演を結びました。

 参加者からは、「日本共産党の不破議長ならではの講演で、驚きと発見があった。不破さんがインドの西ベンガル州で二十数年にわたって、左翼政権が続いていることを紹介したが、これからの日本共産党の政権参加の可能性などと関連して聞いた。またマスメディアで一度言ったらきかない、という中国についてのイメージが広げられているが、日本共産党が中国共産党と関係改善をする過程のなかで、道理に立って対話ができる相手だと紹介した中国の姿も大切なことだと思った」(都内の大学院生、二十六歳)、「日本共産党が二十一世紀をどう考えるかということを知りたかったので、大変おもしろかった。先進国のなかの共産党が退潮しているなか、日本共産党が果たす役割はますます大きくなるだろう。同時に、アジアのなかで党がどのような関係を築いていくのかも大きく問われている。そういう分野について、私たち研究者の役割についても考えながら聞いた」(大学教員、四十八歳)などの感想が聞かれました。

各地の活動 活発に交流

 小沢辰男代表世話人(武蔵大学名誉教授)の開会あいさつで始まった同会は午後、日本共産党の林紀子参院議員(文教科学委員)が、有事三法案や国立大学の独立行政法人化をめぐる国会論戦を報告。文部科学省が、国の大学統制を強める独法化というあり方が「世界に例がない」と認めたことなどを明らかにしました。

 交流会では、「大運動で二回にわたって宣伝紙と『赤旗』おすすめリーフを大量に郵送して拡大」(大阪)、「後援会ニュースで小泉内閣を切るというテーマで各教員が書くなど工夫し好評」(京都)、「若者向けに数学セミナーや弁護士と語ろうという集いを開き、結びつきを強化」(北海道)、「総会で大学問題で討論し、多数の参加で成功」(愛知)など活発な討論が交わされました。

 加藤幸三郎・事務局長(専修大学名誉教授)が、すべての都道府県に学者・研究者後援会をつくることを目指すことなどを決めた「申し合わせ」を提案し、了承されました。最後に、増田善信・代表世話人(気象学者)が閉会のあいさつをのべました。

 


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