日本共産党

2002年5月17日(金)「しんぶん赤旗」

整理回収機構送りやめさせた

みんなで運動してよかった

ものづくり集積地 広がる共同

東京・大田区


 大栄信用組合、東京富士信用組合が破たん(昨年十一月二日)し、多くの中小業者が窮地にたたされた東京・大田区。民主商工会や労働組合が先頭にたち地域ぐるみの運動を広げ、破たん信組の融資先の九割をRCC(整理回収機構)送りにせず、「受け皿」の共立信用組合に引き継がせました。地域をあげた運動の力でした。(矢藤 実記者)

 「あの運動がなかったら、自殺していたかもしれません。RCC送りにされず、どれほど多くの中小業者が助かったことか」。同区内で半導体関連の部品を作る池田克憲さん(59)は、かみしめるように話します。

2信組の破たん

 十七年前、父親と弟の正志さん(50)の三人ではじめた金属加工業。年間千三百万円もあった売り上げが受注減、単価切り下げで苦境に立たされ借り入れた千五百万円の返済も条件変更の連続でした。「それでも大栄信組は、返済ができるまで待ってくれた」といいます。昨年六月から仕事はほとんどゼロ。その矢先の二信組の破たん。「ショックでした。不良債権扱いにされRCC送りは免れないだろう」と思ったといいます。文字通り倒産の危機でした。

 大田区は、全国有数の中小業の集積地。多彩な専門技術を有する中小業者のネットワークを持ち、日本のものづくりの基盤を支えてきました。工場数約六千、91%が二十人未満の中小企業で主力は金型や金属加工です。

 長引く不況、産業の空洞化で苦境にたつ中小企業にとって、区内の二信組破たんが与える打撃は、これ以上はないというほどのものでした。破たんした二信組の融資先は、中小企業や業者の三千件、住宅ローンなど個人が八千件、合わせて一万一千件に及びます。製造業の倒産をはじめ、地域経済が立ち行かない事態に直面したのです。

情報センター

 「中小業者と地域経済を守れ」―破たん直後の五日、区内にある三つの民主商工会、労働組合、日本共産党などが集まり緊急会議を開き、「大栄・東京富士信組の破たんから地域経済と中小業者を守る情報センター」を結成しました。

 情報センターが呼びかけた二回の大田区地域経済の危機打開決起集会、十数回にわたる区民相談会、金融整理管財人、受け皿の共立信組、金融庁、東京都、区当局への申し入れと交渉を重ねました。平沼赳夫経済産業相は、「ものづくりとそれを支える中小企業は日本経済の屋台骨。検査マニュアルの画一的な運用をやめるよう金融庁に伝える」(十二月十三日)と答えました。

 東京商工会議所大田支部、大田工業連合会、大田区商店街連合会は共同して「危機突破総大会」(十一月一日)を開き、「このままでは、年を越せない。市中金融機関からの中小企業の借入金の元本返済の五年間猶予を」などの緊急アピールを採択しました。

技術評価して

 情報センターは、区内のすべての産業団体、労働組合、約千団体に共同の取り組みを呼びかけました。運動が広がり、世論は高まりました。情報センターの要請(今年三月一日)に、受け皿の共立信用組合は、破たんした二信組の「融資先の九割を引き受ける」と表明しました。

 大田工業連合会の高野六雄事務局長はいいます。「金融機関は、融資にあたっても中小業者の腕(技術)をちゃんと評価してほしい。こういう時だからこそ、みんながまとまって立ち上がらなくては」

 この取り組みは、十八、十九の両日、兵庫県尼崎市で開く第四回中小企業のまち民間サミットで報告されます。


第4回中小企業のまち民間サミット

 「不況打開」「地域経済を守れ」「産業空洞化反対」など中小業者が地域振興を草の根からすすめる運動を交流するつどい。東大阪(一九九七年)、東京・大田区(九八年)、墨田区(二〇〇〇年)につづく四回目の開催です。

 とき 5月18日(土)〜19日(日)

 ところ 兵庫県尼崎市中小企業センター

 内容 地域振興条例を制定させた取り組み、信金・信組の破たんに対するたたかい、民主市政のもとでの雇用・産業政策の前進など。十七日には、船で尼崎市の状況を調査するプレ企画もあります。

 参加費二千円。

 連絡先 03(3731)1261。現地連絡先 06(6482)1735 尼崎民商

 


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