日本共産党

2002年5月15日(水)「しんぶん赤旗」

辞職勧告動議否決

鈴木氏をかばい続ける自民

公明、再喚問になぜ反対


 鈴木宗男衆院議員に対する議員辞職勧告決議案の衆院本会議採決の動議否決で、再び国会としての意思表明の場が奪われました。公設秘書の逮捕に続き、鈴木氏と一心同体だった佐藤優・前外務省国際情報局主任分析官の逮捕――。これほど鈴木疑惑が深まりをみせているのに、です。動議に反対した自民、保守両党、そして否決と裁定した鳩山邦夫議運委員長の責任は重大です。

 自民党は十日の衆院予算委員会でも、鈴木氏の偽証告発を議決する野党の動議を公明、保守両党とともに否決したばかり。鈴木氏の再度の証人喚問も一貫して拒否しており、政治的・道義的責任への対処や真相究明などあらゆる面で鈴木氏をかばい、国会の責務を放棄し続けました。

 三月二十日の議運委で決議案の上程動議を否決した際、自民党は「議員の身分は重い」と弁明。その後、「ムネオハウス」の入札介入疑惑で鈴木氏の公設秘書が逮捕(四月三十日)されると、「議員本人の違法行為が明らかになったわけではない」(山崎拓幹事長)と言い出し、今回の議運委でも同様の主張を展開しました。そんな理屈は通りません。

 「ムネオハウス」疑惑で鈴木氏が、外務省に圧力をかけ入札要件を不当にねじまげ、そのうえにたって公設秘書は受注業者らと談合。偽計業務妨害容疑で逮捕されたのです。十四日に背任容疑で逮捕された佐藤前主任分析官は、鈴木氏の外遊に秘書同然に同行。鈴木氏の意向で同氏を異動させられない“一体”の関係でした。

 いま焦点になっている一連の鈴木疑惑は、自民党政治家としてかかわったものです。ところが自民党は疑惑解明をせず、離党で幕引きをはかりました。決議案上程の動議の対応で小泉純一郎首相は、「否決もやむをえない」とゴーサインを出し、山崎幹事長に一任しました。決議案採決を水際で阻止するのは、それだけ世論の批判の前に自民党が追いこまれているから。自民党が、鈴木氏に政治的道義的責任をとらせることができないのなら、国会がその役割を果たすのは当然です。

 三月時点で辞職勧告決議案上程に反対した公明党は、「(公設秘書の逮捕で)新たな段階になった」として賛成に回ったものの、同じ連立与党として否決した自民党の姿勢を問題にするわけでも、責任を追及するわけでもありません。「新たな段階に入った」というなら、なぜ自民党とともに野党の偽証告発の動議を否決し、再喚問にも反対したのか。

 偽証告発の動議は、公設秘書の逮捕という事態を受けて、鈴木氏の偽証の疑いが濃厚になったとして出されたものです。予算委員会での再喚問は、三月の証人喚問後、省庁横断的に新たな疑惑が噴出し、さらに日ロ領土交渉をめぐる「二重外交」疑惑という国益にかかわる重大問題も判明するなど、まさに新たな事態が出てきているから必要なのです。

 「新たな段階に入った」というなら、決議案に賛成するだけでなく、偽証告発や再喚問にも積極的に対応するのが政党としての誠実な態度というものです。(高柳幸雄記者)

 


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