日本共産党

2002年5月12日(日)「しんぶん赤旗」

第2次大戦中にイタリア人虐殺

元ナチス隊長裁判を開始

ドイツ


 【ローマ10日島田峰隆】ドイツ北部の都市ハンブルクでこのほど、第二次世界大戦中にイタリア北部で起きた大量虐殺事件にかかわったとされる元ナチス親衛隊(SS)隊長エンゲル・フリードリヒ(93)の裁判が始まりました。

 同裁判はナチスの犯罪の真相解明につながる「最近の大裁判の一つ」(イタリア紙)として、イタリアでも注目されています。

 エンゲルはイタリア北部がドイツ軍の占領下にあった一九四四―四五年、ジェノバにSS親衛隊長として赴任、警察署長も兼任しました。その間に四件の虐殺事件に関与し、反ファシズム運動の活動家や市民ら合計二百四十六人のイタリア人を殺害しました。昨年四月にドイツのテレビ局が、ハンブルクで暮らしているところを発見しました。

 七日に行われた一回目の裁判でエンゲルは、「まったく覚えていない」、虐殺現場には「目撃者としていっただけだ」と、直接的関与を否定。虐殺対象者のリストを作成したことは認めました。

 エンゲルは昨年、高齢と健康状態の悪化、時間の経過を理由に裁判拒否の意図も語っていました。裁判は被害者団体や真相解明を求める世論を背景に実現したものです。

 イタリア全国パルチザン協会(ANPI)の幹部は、「裁判は個人責任と同時にナチスの罪の具体的事実も明らかにするもの。戦争を直接知らない若い世代にとってもナチスの蛮行を知る機会になる。大切なのはどんなに時間がたっても歴史の真実と教訓を明確にすることだ」と語っています。

 イタリアのウニタ紙は事件から半世紀以上たっても裁判を行う意義について、「国民の意識と現在・過去の関係への重要な貢献である」と論評しました。

 


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