日本共産党

2002年5月12日(日)「しんぶん赤旗」

中国・瀋陽 総領事館内拘束事件

これまでの経過は…


 中国・瀋陽の日本総領事館への駆け込み事件をめぐり、日本の川口外相は十日、小野正昭領事移住部長らを中国に派遣、事実関係の調査を開始しました。事件をめぐり日本政府の発表やマスコミの報道などと中国側の説明の食い違いが浮き彫りになりました。これまで明らかになったのは以下の通りです。


図

 八日、午後二時(日本時間同三時)ごろ、北朝鮮の市民とみられる家族、男性二人、女性二人と女児の計五人が瀋陽の日本総領事館への突入を図りました。

 各テレビ局で放映されたビデオ映像によると、総領事館の正門で警備に当たっていた中国の武装警官二人が家族を取り押さえようとします。男性二人は、警官の制止を振り切って構内に入り、警備担当の中国人職員が追いかけました。

 女性二人は総領事館の敷地内に入ったものの、駆け付けたもう一人の警官を含め三人の武装警官が敷地内に入り、門の外に引き戻しました。女児はしばらく敷地内に取り残され、正門にしがみつき大声を上げながら踏みとどまろうとする女性二人をぼうぜんと見つめていました。

 騒ぎに気付いた副領事一人は中国人職員二人と正門に出て、女性らに「落ち着きなさい」と中国語で声をかけたといいます。

 映像には、日本人職員が、武装警官が敷地内に落とした帽子を拾っている姿が映っています。北京の日本大使館の説明(九日)では、副領事は中国警察に対し「領事館側で事情を聴く。移動させるな」と抗議したといいますが、十日の総領事館の説明では、副領事は、女性たちに「落ち着きなさい」と声を掛けただけでした。

 構内に駆け込んだ男性二人は、正門から約三十メートル離れた総領事館建物内の査証(ビザ)申請の待合室に駆け込み、いすに座っていたとみられています。その間、十〜二十分。そこへ応援部隊を含めた武装警官五、六人が駆け付け、男性二人を革ベルトで拘束し連れ出しました。日本人館員は口頭で「日本側で事情を聞きたい」と伝えたといいますが、聞き入れられなかったとしています。

 連行された五人はその後、総領事館の外にある警察詰め所で尋問されました。同三時ごろ、五人は瀋陽市公安局に身柄を移されました。

「日本の同意を得た」と中国

 これに対し中国外務省は十一日、「中国警察官は日本側の同意を得て館内に入った」とする報道官の談話を発表しました。中国側は「真剣な調査、事実確認を行った」とし、二人が総領事館に入りこんだ後、警察官は「副領事一人の同意」を得たうえで館内に入り、二人を連れ出したといいます。

 その後、中国側に事情を尋ねた別の領事も五人の連行に同意し、「警察官に感謝を表明した」として、「中国側が同意なく入ったとする総領事館の言い分は成り立たない」と断じました。

 談話はまた、「五人は正体不明で正常な手続きを踏んでいないため、領事館および館員の安全に危害を及ぼす可能性があった。武装警官の措置は純粋に責任感から出たもので、ウィーン条約の規定にかなっている」とのべ、「一九九八年五月、日本の警察官多数が同意なく在日中国大使館の建物に入り、正体不明者を連行した」としています。

「同意の事実ない」と外務省

 外務省は十一日、中国の警官が日本側の同意を得て瀋陽の日本総領事館内に入ったとする中国政府の談話を全面的に否定するコメントを発表。

 コメントは、「中国官憲の総領事館立ち入りと関係者五人の連行に同意を与えた事実はない」とするとともに、関係者五人の身柄引き渡しと「中国側の陳謝、再発防止の保証」を再度要求。また、事実関係の徹底的解明のためにさらなる調査を行っており、今後その結果に基づく反論を行うと指摘、日中関係を重視しているゆえに速やかな問題解決が必要だとしています。


日本共産党の見解

 日本共産党の市田忠義書記局長はこの問題で九日、次の談話を発表しています。

 中国側の今回の対応は、在外公館の不可侵を保障したウィーン条約に明らかに違反している。わが党は、このことを指摘し、中国側がすみやかな原状回復をおこなうことを求める。

 拘束された五人にたいしては、国際法にもとづく適切な処置がとられることを希望する。

 そのためにも、日中両国政府間で、冷静で、道理ある解決のための話し合いがおこなわれるべきである。

 


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