日本共産党

2002年5月9日(木)「しんぶん赤旗」

負担増で通院がまん さらに“3割負担維持”の保証もなし

衆院厚労委

小沢議員質問で明らかに


 八日の衆院厚生労働委員会で日本共産党の小沢和秋議員は、労働者を直撃する医療改悪法案の重大さをただしました。

受診抑制への責任認めず

 「三割負担になれば、多くの労働者はお金のことが心配で病院に行くのを我慢するようになる。今回の負担増はこういう受診抑制効果を狙っているのではないか」――小沢氏の追及に、厚生労働省の宮路和秋副大臣は、三割負担導入などによる受診抑制で、医療費が年三千三百億円(二〇〇三年度〜〇七年度の平均)減らせるとの試算を示しました。

 また、三割負担導入などによる七十歳未満の負担増が一人あたり年四千円となること、とくに退職者医療制度の対象となる年金生活者の場合は年一万円の患者負担増になることを明らかにしました。

 小沢氏は、すでに三割負担となっている国民健康保険の場合、受診してから二十四時間以内に死亡した人が四年前にくらべて30%も増えているという全商連(全国商工団体連合会)の調査を紹介。「受診抑制で手遅れになり、今までなら助かったのに亡くなってしまう人が労働者の中にも広がるということではないのか」と迫りました。

 坂口力厚労相は「(受診抑制は)ずっと続くわけではない。また元に戻る」と答弁。一時的な問題だとして背を向ける態度に終始しました。

 小沢氏は、一九九七年の医療改悪で、サラリーマンなどの患者負担が一割から二割に引き上げられたあとの厚生省の患者調査を紹介。九九年の三十五〜六十四歳の通院患者数は改悪前の九六年より三十五万人も減っており「そんなに簡単に戻るものではない」と指摘、「病院に行くのを我慢すれば病状が重くなってからの治療となり、結局、長期的にみれば医療費はかえってかさむ」と批判しました。

付則は気安め厚労相認める

 改悪法案の付則には、医療保険の患者負担率を将来にわたって「三割」で維持することが明記されました。

 小沢氏は「これまでも十割給付を破るときは“末永く九割給付(患者負担一割)を維持する”と言い、八割給付(患者負担二割)に切り下げる時は、“絶対にこれ以下にはしない”と言ってきたのではないか」と指摘。“三割負担維持”を明記したといっても「気休め程度の意味しかもたない」とただしました。

 坂口厚労相は、“三割負担維持”というのは「現内閣の決意を表明したもので、将来のことまでくくるというわけにはいかない」などと答弁。小沢氏に「それでは、小泉内閣の間だけの決意表明ではないか」と指摘されると「小沢議員のご指摘の通り」と認め、「将来の人たちが、具合が悪いと言うことで改正をされても、それはやむを得ない」とのべました。将来の患者負担引き上げに、何の歯止めにもならないことが明らかになりました。(秋野幸子記者)

 


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