日本共産党

2002年5月3日(金)「しんぶん赤旗」

国会が問われている

弁明、離党、“自発的”辞職
政府・与党の姑息な手法


 弁明、離党、“自発的”辞職…。雨後のタケノコのように現れる金権腐敗政治に、“一件落着”の儀式を繰り返してきた政府・与党。それがいかに真相を隠し、腐敗を再生産させるのか。「ウミをだしつくせ」「有事立法より優先すべきことはあるはずだ」と声をあげる国民の多くは、政府・与党の姑息(こそく)な手法の裏をとうに見抜いています。

共通した構図

 鈴木宗男衆院議員の秘書逮捕に続き、二日には公共事業の口利き疑惑で井上裕前参院議長の政策秘書も逮捕。井上氏はみずからの疑惑の真相を国民に明らかにすることなく議員を辞めました。すでに加藤紘一元自民党幹事長、鹿野道彦前民主党副代表の秘書も逮捕されるなど、まさに「政界こそ有事」といわれるゆえんです。

 一連の事件には共通した構図があります。

 国民の税金が使われる公共事業を私物化する。自らの利権にするため、官僚と癒着し、行政に介入・圧力をかけてゆがめる。特定の後援企業などに受注させて巨額の見返りを受け取る――というものです。

 鈴木、加藤両氏は、自民党と政府の中枢、要職を占めてきました。自民党の典型的な金権・腐敗体質の根深さと深刻さは、自民党から参院議長という三権の長に選ばれた井上氏までが辞職したことで、いっそう浮き彫りになりました。

 一月下旬に今国会が始まる前から、腐敗政治の問題は大きな焦点でした。ところが、小泉純一郎首相は、政治家本人の判断まかせの態度に終始。自民党総裁として、みずから真相の究明に乗り出そうともしませんでした。

究明に背向け

 鈴木・加藤疑惑でいよいよ追い詰められ、公共事業受注企業からの政治献金の「規制」を言い出したものの、それもいつのまにかトーンダウン。「自民党をぶっ壊す」の首相の訴えは、もはや国民だましのパフォーマンスでしかありません。その言葉が本物なら、大胆にメスを入れ、ウミを出すことは十分できたはずです。

 壊されることのなかった自民党は、公明、保守両党とともに国会の場で、一貫して真相の究明に背を向けてきました。鈴木氏の再証人喚問を拒み、議員辞職勧告決議案の本会議上程を否決。加藤、井上両氏の喚問も拒否しました。

 疑惑の関係者の証人喚問で真相を徹底究明し、企業・団体献金の禁止など具体的な法的措置をとることで、国民の政治不信を払しょくすることは、国会に課せられた、待ったなしの課題です。これを連休明け最大の焦点にしなければ、国会の自浄能力、国権の最高機関としての権威が根本から問われることになります。

 「政界こそ有事」をつくりだしている自民党政治に、いまこそメスを入れなければなりません。(高柳幸雄記者)


政治とカネをめぐる疑惑

2002・2・6鹿野道彦氏が、逮捕された元秘書による事務所秘書給与負担が発覚し、民主党を離党
3・4鈴木宗男氏の北方4島支援事業をめぐる疑惑で外務省が調査報告書を発表
3・8東京地検が加藤紘一氏の前事務所代表、佐藤三郎氏を脱税容疑で逮捕
3・11鈴木氏、衆院予算委員会で証人喚問
3・15鈴木氏が自民党を離党
3・18加藤氏が自民党を離党
3・20衆院議院運営委員会が鈴木氏の議員辞職勧告決議案の本会議上程を否決
3・26社民党の辻元清美氏が秘書給与流用で議員辞職願を提出
4・1井上裕参院議長、政策秘書が6400万円の裏金を受領したとの報道に「受け取っていないとの秘書の言を信じる」との文書発表
4・8加藤氏が、衆院予算委員会参考人質疑で議員辞職を表明。鹿野氏は同質疑で辞職否定
4・18井上議長が参院与野党各派代表に、業者からの受領は1000万円分のパーティー券のみなどと説明
4・19井上氏が国会混乱の責任を理由に議長辞任
4・25衆院予算委参考人質疑で辻元氏が「指南役」や「党ぐるみ」の関与を否定
4・30鈴木氏の公設第1秘書、偽計業務妨害の疑いで逮捕
5・2井上前議長の前政策秘書を競売入札妨害の疑いで逮捕、井上氏が議員辞職願を提出

(注)肩書は当時

 


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