日本共産党

2002年5月2日(木)「しんぶん赤旗」

審議入りした戦争国家法案

本会議論戦から(1)


米の介入戦争で発動

首相「総合的に勘案」

 武力攻撃事態法案などいわゆる有事三法案=「戦争国家法案」が、四月二十六日の衆院本会議での代表質問で審議入りしました。自衛隊発足以来、歴代内閣が狙いながら果たせなかった有事法制が、小泉内閣の手でついに国会の場に姿をあらわしたのです。代表質問を通じ浮上してきた「戦争国家法案」の重大な問題点をみてみました。

 戦争国家法案は「武力攻撃事態」への対処を口実に、戦争を最優先にする国家体制づくりをめざしています。

 「武力攻撃事態」とはどのような事態なのか。法案では「わが国に対する外部からの武力攻撃」が発生した事態=「武力攻撃事態」として、次の二つの場合をあげています。

 ―武力攻撃のおそれのある場合。

 ―事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態。

 日本が直接攻撃される前の「おそれ」や「予測」の段階も、武力攻撃事態に含まれるということです。その範囲はあいまいで、歯止めがありません。

米の軍事行動で…

 小泉首相は本会議答弁で、「武力攻撃事態の判断は国際情勢、相手国の意図、軍事的行動など総合的に勘案してなされる」とのべるだけで、明確な基準を示しませんでした。首相の判断次第で「事態」の範囲がどこまでも広がるということです。

 アメリカがアジア太平洋地域で軍事行動を起こしたとき、日本がどう支援するかを具体化した周辺事態法(一九九九年)では、法を発動する事態を、「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態」としました。この規定と戦争国家法案でいう「武力攻撃事態」は重なりあっています。

 日本共産党の石井郁子副委員長は本会議の質問で「日本が武力攻撃された場合だけでなく、武力攻撃の『おそれ』や『予測』だけでも法案が発動される。周辺事態法が発動される事態と重なり合っている」と指摘。小泉首相は「わが国への武力攻撃事態が周辺事態にもあたる場合もあり得る」と認めました。

 つまり、アメリカがアジアで介入戦争を起こし、日本が支援した場合も、有事法制=戦争国家法が発動され、国民が強制動員される危険があるということです。

インド洋で攻撃うけ

 この問題で日本共産党の小泉親司議員は四月二十三日の参院外交防衛委員会で、「周辺事態」で対米支援する自衛隊や、テロ対策特別措置法(報復戦争参加法)でインド洋に派遣されている自衛艦が攻撃を受けた場合も「武力攻撃事態」になりうるのかと質問。中谷元・防衛庁長官は「組織的、計画的な武力行使と判断されれば、わが国への武力攻撃に該当する」と答弁しています。

 日米の軍事レベルではすでに昨年九月、日米軍事協力の指針(ガイドライン)にもとづき、「周辺事態」と日本が武力攻撃を受けた事態を一体化した作戦計画が合意されています。自衛隊が米軍と共同して軍事介入した場合のシナリオはできているのです。

 日本がアメリカのアジア介入戦争に参加する危険は、ブッシュ政権のもとでかつてないほど高まっています。周辺事態法には自治体や民間を強制的に動員する条項や罰則がありませんでしたが、今回の法案でアメリカの戦争に国民を強制的に総動員するしくみをつくろうとしているのです。

(つづく)

 


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