日本共産党

2002年4月24日(水)「しんぶん赤旗」

中谷答弁

“備えあれば…”どころか

米国の戦争への参戦と一体不可分


 「戦争国家法案」(有事三法案)の発動対象である「武力攻撃事態」と「周辺事態」は一体だった――。二十三日の参院外交防衛委員会で中谷元・防衛庁長官は、昨年九月に日米の制服レベルで合意した軍事計画原案が、米国がアジア太平洋地域で軍事介入する「周辺事態」から「日本有事」までを対象にしていたことを認めました。

 中谷長官は有事法制の発動対象として「周辺事態も一つのケース」と認めていましたが、今度は軍事計画の面からも二つの事態が一体であることが裏付けられたことになります。このことは、小泉内閣が「備えあれば憂いなし」などといって、「戦争国家法案」を侵略への「備え」であるかのように宣伝していることが、実はごまかしであることを示すものです。

 実際は、「事態」の程度によって動員の度合いに差こそあれ、米軍の軍事介入によって有事法制の発動がありうること、そしてそこに強制力が働くのは避けられません。

 そもそも、国民を動員する軍事作戦計画を軍人レベルで極秘に合意すること自体、憲法の主権在民原則に反します。そのうえ、政府は危険な軍事作戦計画の内容を一切明らかにしていません。

 三月十九日の同委員会で、日本共産党の小泉親司議員に追及された中谷長官は、計画原案が署名されていたことを初めて認めました。同二十日、署名したのが在日米軍副司令官と自衛隊統合幕僚会議事務局長であることを明らかにしました。国民が知らされている事実はこれだけです。

 中谷長官は今回、小泉議員に「(同計画は)今回の有事法制に反映されているのか」と追及され、「関連性はある」と認めました。そうであるなら、日米共同の軍事作戦計画の全容を国民の前に明らかにして判断をあおぐべきです。そのことが戦争国家法案の審議にも欠かせません。

 重大なのは、インド洋展開中の海上自衛隊艦船への攻撃も「日本への武力攻撃」と認める場合があるとしたことです。これは、周辺事態法だけでなく、報復戦争参加法(テロ対策特措法)でも、派遣された自衛隊が攻撃されれば有事法制が発動される危険があることを示しています。

 結局「戦争国家法案」は、日本防衛と関係ないだけでなく、米国がおこす干渉戦争への加担の「備え」であることを改めて浮き彫りにしました。(田中一郎記者)

 


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