日本共産党

2002年4月16日(火)「しんぶん赤旗」

ボアオ・アジアフォーラム

経済発展へ各国模索


 「政府主導でなく、非営利で、経済問題を中心に定期にボアオで」を基本理念とした第一回ボアオ・アジアフォーラムが十二、十三の両日、中国海南島の保養地・博鰲(ボアオ)で開かれ、政府関係者、企業人、学者が中心になって討論を繰り広げました。日本、中国、韓国、タイの首相も参加しました。

 中心課題はアジア経済の協力と発展ですが、原点にあるのが“アジアの貧しさ”です。何といっても「アジアの一人あたり国内総生産(GDP)は、世界平均の五分の一」(千野アジア開発銀行総裁のあいさつ)という現実があります。

 理事長に就任したラモス元フィリピン大統領は開幕にあたって、「世界人口の六割を占めるアジアの国と人々の貧富の差は、ますます広まっているのではないか」と懸念を表明しました。韓国の李漢東首相も基調演説で「貧困問題の解決は人類の課題」と強調しました。

 フォーラムでは「協力と発展」をキーワードに、貿易、投資、流通、コミュニケーションなどの強化が語られました。その一つが、中国が打ち出した「今後十年間で、東南アジア諸国と自由貿易地域をつくる」という構想です。中国の朱鎔基首相は基調演説でこのことにも触れ、「経済協力から全面的協力へ」と位置付けました。

 アジアはまさに多種多様です。世界がIT(情報技術)不況といわれるなかで必死に情報産業の前進を模索する中国やインド、一九九七年の通貨危機にほんろうされ、経済の立て直しに努力するタイや韓国からの発言も印象的でした。主催地国の中国自身、世界貿易機関(WTO)加盟後の農業、自動車分野などで厳しいあらしに見舞われながらも打開の道を探っています。

 経済発展への熱気ともいえる全体の雰囲気と対照的に感じられたのが、日本の小泉首相と竹中経済担当相のかじ取りの方向と強引な「経済上向き」論です。

 小泉首相は基調演説で「アジア経済の繁栄のためにも構造改革を、不良債権処理を」と国民生活破壊につながる路線を強調。さらに質疑応答では「日本の景気はもう底をついた」と述べました。竹中担当相も全体会議で「日本経済は下げ止まり」と発言しました。

 国内総生産(GDP)指標、家計消費、失業率、企業倒産などどれをとっても小泉首相の所論を実証するものはない中での発言ですが、参加者にそのまま受け取られることに危ぐを覚えました。(ボアオで小寺松雄)

 


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