日本共産党

2002年4月11日(木)「しんぶん赤旗」

有事立法わたしは反対

弁護士 土井 香苗さん

わかりやすさと「する」運動


 「若い女性のみなさん。私たちに戦争につながる有事法制が必要でしょうか」。三月五日、東京・新宿駅で自由法曹団が行った宣伝行動で、土井香苗弁護士の訴えが道行く人の足を止めました。二十六歳。人権問題を中心に活躍する土井さんに、有事法制に反対する思いを聞きました。


 実は、宣伝カーの上に乗って訴えるのは、初めての体験でした。私もまだまだ勉強途中で、有事法制に詳しい弁護士の夫から話を聞いて「なるほど」というレベルです。でも、有事法制を止めるには、私たち女性がみずみずしい感性――平凡でありふれた感性で語ることも大切じゃないかと。

軍隊ない国

 それは、今年の二月に中米のコスタリカを訪問して強く感じました。

 コスタリカは「軍隊がない国」として知られています。軍隊を持たないかわりに、民衆に積極的な平和を求める強い力がありました。

 軍備廃止を宣言したフィゲレス元大統領夫人のカレンさんは「憲法ができたとき、男の子を産んだ多くの女性が『この子を兵隊にやらずに済む』と、喜びを感じられるようになった」といいます。戦争をなくす決意とは、自分の子どもを殺さなくてすむようにしたいという願いでした。だから有事法制の問題を、子どもを産み育てる女性に、もっともっと関心を持ってもらいたい。

 「有事法制反対」の声を多くの人に広めていくためには、「わかりやすさ」と「する運動」がポイントだと思うんです。

 たとえば、「有事法制はアメリカ支援法だ」といっても、「考え過ぎだよ」といわれてしまう。だから、アメリカのアーミテージ氏(現国務副長官)らが一昨年十月に発表した「アーミテージ報告」をきっちり示していく。報告には、日本が「アジアの紛争」へ参戦するとか、そのために有事法制が必要と求めています。

 また、戦前の「国家総動員法」で太平洋戦争に突き進んだ、苦い記憶を持っている人はたくさんいます。国家総動員法と有事法制との類似点を明らかにしていくことも「わかりやすい」ですね。内容がわかれば、「それ、まずいんじゃないの」と思うでしょ。

活動の原点

 もう一つ大事なことはは、「する」運動です。平和運動は“〇〇するな”系の訴えが多いのですが、積極的に平和をつくる活動にも力をつくす。私がいま取り組んでいるアフガン難民を救う活動も、その一つだと自負しています。日本は、虐殺から逃れて難民申請したアフガン一般市民を逮捕し、収容した難民虐待国。「あまりにもひどい」という怒りが、私の活動の原点ですから。

 日本国憲法も九条で「戦力の放棄」をうたっていますが、すばらしさはそれだけじゃない。前文では、平和を破壊する国でなく、平和を求めて全力をあげて、この崇高な理想を達成すると誓っています。

 だから、このまま有事法制が通るようなことになれば、日本は平和のために何もしない国になってしまう。それでは世界が許してくれません。


 どい・かなえ 一九七五年神奈川生まれ。東京大学法学部三年のとき司法試験合格。二〇〇〇年弁護士登録。現在、アフガニスタン難民弁護団など、外国人の権利の問題で精力的に活動。

 


もどる

機能しない場合は、ブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp