日本共産党

2002年4月1日(月)「しんぶん赤旗」

還流マネー 税金私物化の構図(1)

小泉首相に問う(上)

首相秘書の会社が工事情報提供

 就任後に突如解散


 税金を使う事業が、政治家の利権対象にされ、私物化される――。「痛み」ばかりが押しつけられる国民から見れば本当にやりきれません。加藤紘一元自民党幹事長や鈴木宗男議員など相次ぐ疑惑で、税金が利権として政界に還流する構造そのものが問題になっています。そこで、自民党総裁である小泉首相にまず問います。


 「神奈川県横須賀市の公共工事でコンサルタント契約を結びました」

 鉄鋼メーカーでプラント事業もしている日立金属(東京・港区)の広報担当者は、本紙との長いやりとりのすえにやっとこの事実を認めました。

実弟夫婦や秘書、秘書官

 コンサルタント契約の相手先は横須賀市日の出町の会社「コンステレーション」。この会社は、小泉首相の私設秘書であり、実弟である小泉正也氏が代表取締役です。

 一九八五年十二月の設立。他の取締役には、小泉正也氏夫人の小泉美枝子氏、現公設秘書の鍋倉正樹氏、監査役には現首相秘書官の飯島勲氏が就任。小泉ファミリーと秘書の会社なのです。

 この会社、小泉氏が首相となった三カ月後の昨年七月に突如、解散しました。週刊誌で会社の存在が報道された直後のことでした。

 首相の現在の私設秘書、公設秘書、秘書官がかかわった会社は設立以来の十六年間、一体何をしていたのか。

 会社所在地を訪ねてみました。

 そこは会社ではなく、小泉正也氏の自宅。解散するまでかかっていた社名の小さなプレートがなければ誰も気が付かなかった存在です。

 民間信用調査会社のデータに掲載されていた会社の電話番号にかけると「小泉事務所です」という返事。専用電話もない、従業員もいない、典型的なペーパーカンパニーです。

 それでも、きっちり収入はありました。

 民間信用調査会社の資料では、収入として、九九年に九百万円、二〇〇〇年に千三百万円、〇一年に一千万円。

 仕事の種類は、「汚水処理にかかわるプラント設備のコンサルタント業」とされていますが、「収入の大半はコンサルタント業というものの、内容は口利き料、仲介料に等しい状況」と指摘しています。「口利き」は、現在まさに疑惑の焦点となっている行為です。

 冒頭に紹介した、日立金属との契約はその仕事のひとつでした。

予定価格の97%で落札

 日立金属側によると、契約対象は、二〇〇〇年十二月に横須賀市が同社に発注した舟倉ポンプ場沈砂池機械設備工事(五千五百万円)。入札の結果、日立金属は予定価格の97・3%で落札、受注しています。

 日立金属横浜営業所の担当者は説明します。

 「私たちが役所にいって確認する前に、今度、仕事が出るというような情報を小泉正也さんから教えていただいた。十数万円のお礼をしました。細かい内容は分かりづらいし、役所のガードも固いですしね…」

 これ以上の説明は拒否されましたが、本社広報担当者も「メリットがなければ取引しない」と断言します。

 小泉正也氏は社長であると同時に小泉議員秘書でした。首相の資金管理団体「東泉会」にも、横須賀市発注のプラント事業を受注している前澤工業や西原環境衛生研究所、月島機械などが献金しています。

 公共事業の情報提供の対価として報酬を受ける――それは、今、問題になっている「口利き疑惑」と構図は同じではないか。

 この問題について本紙は小泉事務所と小泉正也氏にくわしい質問状を提出しました。「過去のことなのでお答えを差し控えたい」。そんな回答しか返ってきませんでした。(つづく)

 


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