日本共産党

2002年3月30日(土)「しんぶん赤旗」

加藤議員に脱税容疑

1億数千万円流用 10年で

なお「辞職考えず」

佐藤容疑者を起訴


 自民党を離党した加藤紘一衆院議員(元自民党幹事長)の前事務所代表、佐藤三郎容疑者(61)による脱税事件で、東京地検特捜部は二十九日、二〇〇〇年までの三年分の所得約二億六千五百万円を隠し、九千八百万円余を脱税したとして、所得税法違反(脱税)の罪で同容疑者を起訴しました。加藤議員本人についても、自宅マンション家賃など九千万円を政治資金管理団体に肩がわりさせながら申告しなかった脱税の疑いが浮上しており、同議員の責任はますます重大になってきました。


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質問に答える加藤紘一元自民党幹事長=29日午後4時45分、東京都千代田区の事務所

 東京地検特捜部は今後、こうした加藤議員自身の容疑についての解明も進める方針です。

 起訴状などによると、佐藤容疑者は公共工事の口利き料や民間の不動産取引の仲介手数料名目で得た二〇〇〇年までの三年分の所得約二億六千五百万円を隠し、所得税九千八百万円余を脱税しました。

 隠し所得の内訳は、道路管理会社「エヌ・エッチ・エス」(酒田市)の設立に参加した建設会社七社から協力金名目で集めた一億二千万円▽中谷元・防衛庁長官の父親が経営する「大旺建設」(高知市)や、山形の建設会社などに出させた公共工事などの口利き料約八千五百万円▽ゴルフ場売買にからみ東ハト(東京都渋谷区)から受けとった五千万円――など。

 一方、加藤議員をめぐっては、佐藤容疑者が会計責任者を務めていた資金管理団体「社会計画研究会」(社計研)が同氏の自宅マンションの家賃などを十年ほど前から肩代わりしながら、政治資金収支報告書に記載していなかったことが判明。マンションは家族も居住し、私的な側面が強いため、過去五年間で総額九千万円に上る金が同氏の個人所得に当たる可能性が出てきました。加藤議員はこれを申告しておらず、脱税の疑いがあります。

 こうした支出は政治資金収支報告書に記載されておらず、政治資金規正法に違反する疑いも出てきました。社計研からの資金提供は、年間に最大で二千万円を超えるとされ、提供総額は過去約十年間で、一億数千万円とみられます。

 社計研には、佐藤容疑者が公共工事で口利きし、パーティー券購入代などの形で入金させた資金の一部が入っており、これが加藤議員にも流れたことになります。

 加藤紘一元自民党幹事長は二十九日、同氏事務所前代表の佐藤三郎容疑者が、巨額脱税で起訴されたことについて、「国民の政治に対する信頼を損ねたことは残念に思う」とのべました。しかし、自らの関与については「彼個人の所得税法違反だ」「(起訴)内容一つ一つが寝耳に水だ」と否定。国会での参考人質疑に応じ、事実関係を説明するとして、「(議員)辞職は考えていない」とのべました。都内の加藤事務所で記者団に答えたもの。

 加藤氏が住んでいるマンションの賃料を政治資金から支出していた疑惑については、「私自身もほとんど知らない話だった。その点で、事務所の中に、弁護士、税理士、公認会計士に入っていただき、自ら調査のグループをつくり、できるだけ早く実態を解明したい」とのべました。

 


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