日本共産党

2002年3月29日(金)「しんぶん赤旗」

主張

BSE問題

「重大な失政」の責任どうとる


 BSE(狂牛病)の発生を防げなかった農水省などの責任が、来月二日の政府の調査検討委員会の報告書で明らかにされます。

 どの時期のどんな対応に問題があったのか。それを検証し、責任の所在を明確にすることは、食品行政への信頼を回復するうえでも欠かせません。

政策判断は「間違い」

 報告書原案が問題としたのは、BSEの感染源となる肉骨粉への対応です。

 世界保健機関(WHO)は、一九九六年四月に、肉骨粉の禁止勧告を出しています。勧告を受けた農水省の会合では、専門家から法的禁止を求める意見が出ていました。

 にもかかわらず、課長通知による行政指導で済ませ、法的に禁止しなかったことは、報告書原案が指摘するように「重大な失政」というべきです。

 問題は九六年当時だけではありません。

 報告書原案は、二〇〇一年にEU(欧州連合)のステータス(危険度)評価を断ったことを「政策判断の間違いだった」と指摘しています。

 この評価は、日本ではBSEの発生が確認されていないが、国産牛がBSEに感染している可能性が高いというものです。

 日本が汚染国から肉骨粉を輸入していることや、WHO勧告を受けながら行政指導にとどめたことなどが、評価の理由となっています。

 このEUのステータス評価の報告書案(一次〜三次)が日本に送られてきたのは二〇〇〇年十一月から翌年四月にかけてです。これが国民にあらかじめ知らされ、対策が講じられていれば、BSE「発生時に起きた大きな社会混乱は防げた可能性が高い」としています。

 小泉内閣の責任も免れません。

 日本がEUのステータス評価を農水審議官名で正式に取り下げたのは、小泉内閣になってからの昨年六月十五日です。

 この政策判断が「間違いだった」というなら、担当大臣である武部農水相の責任は重大です。

 もともと、武部農水相は、BSE発生の危険性を指摘したEU委員会からの同年五月八日付の手紙を見もしないで、ステータス評価取り下げを「了」としました。

 その無責任を国会で追及されると、「日本は清浄国」とできる国際獣疫事務局の基準を持ち出していいわけをしました。

 これは「客観的で透明性のあるものにするために、二年間、多くの専門家がかかわって作成した」(報告書原案)EUの評価の意義を理解していないことを露呈したものです。

 こうした武部農水相の姿勢が、BSEの被害をいっそう拡大したことは明白です。

 国会での日本共産党の追及で、小泉首相も「生産者、消費者に責任があるとはいっていない」「政府が責任を感じてしっかりとした対応をしなくてはいけない」とのべました。

信頼回復のためには

 政府にこそ責任があると首相自身認めたのなら、武部農水相をかばうことはできないはずです。

 肉骨粉の禁止は、九四年までにEUで、九七年にアメリカやオーストラリアで実施されたのにたいし、日本は昨年九月のBSE発生後です。この間に「重大な失政」「政策判断の間違い」をおかしたことが食品への不信・不安につながったのです。

 消費者、生産者の信頼を取り戻すためには、武部農水相の辞任が欠かせません。

 


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