日本共産党

2002年3月29日(金)「しんぶん赤旗」

C型肝炎拡大製剤

承認直後に天下り

旧ミドリ十字へ厚生省担当者


 止血剤として使用されたフィブリノゲン(非加熱血液製剤)の投与によりC型肝炎に感染した薬害肝炎問題で、同製剤の承認申請時に許認可の担当課に所属する課長補佐だった人物が、承認と同時に製薬企業の旧ミドリ十字に天下りし、取締役に就任して主に販売を促進する役割を果たしていたことが本紙の調査で分かりました。

 天下りしていたのは、小玉知己氏。同氏は、一九五六年二月に厚生省医務局に入省。旧ミドリ十字がフィブリノゲンを医薬品としての承認申請した六三年六月当時承認申請を処理を担当する同省細菌製剤課(後の生物製剤課)の課長補佐でした。この製剤は、血液の凝固作用を及ぼすたんぱく質フィブリノゲンが欠乏している患者の治療薬として開発されました。しかし、同剤の投与による肝炎感染の危険が指摘されていたことから、六四年六月の製造承認では、このたんぱく質の欠乏症の治療に限定されていました。

 小玉氏は細菌製剤課の課長補佐から当時の科学技術庁放射線医学研究所企画課長をへて、同剤の製造承認を取得した直後の六四年八月にミドリ十字に入社、翌年二月には取締役に就任。静岡支店長、東京支店長などを務めました。八〇年三月に代表取締役、その後副社長までのぼりつめています。

 小玉氏は、厚生省時代から非加熱の血液製剤で肝炎に感染する危険性を知る立場にいました。しかし、同社は、外科手術の際の止血剤など、薬事法で承認された使途以外でも広く販売。これによって同剤によるC型感染者が一万六百人も発生したと推計されています。同氏が天下ったミドリ十字はその後、三菱ウェルファーマと合併。ウ社の広報部は「(違法な)販売促進をした可能性は低いが、調査手法の限界から販売促進について完全に否定できず、まことに遺憾」とコメントしています。

 


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