日本共産党

2002年3月19日(火)「しんぶん赤旗」

解雇規制制度は労働者の守り手だ

イタリア労組活動家 職場復帰果たす


 伊のベルルスコーニ右派政権が攻撃している個別解雇規制制度は、裁判所が不当解雇と判断した際に会社に労働者の再雇用を義務付けるもの。労働組合活動家などを狙った思想差別解雇の規制に力を発揮しています。

職場の労組代表

 清掃会社で働くイバノ・チッカレッリさん(40)も同制度で職場復帰を果たした一人です。

 チッカレッリさんは十五年以上、中部ラツィオ州の職業訓練学校に派遣されて清掃を担当。職場の労組代表も務め、労働条件改善の運動にも取り組んできました。

 最近も非常階段のさび付きや水漏れなど、施設が法律に定められた安全基準に違反することを明らかにし、州に改善を要求、修復させました。一九九六年にも、会社側が「競争力強化」を理由に賃下げと労働時間短縮を発表したことに、八時間のストを組織するなど、たたかいの先頭に立ってきました。

 しかし会社は二〇〇一年五月、突然チッカレッリさんに解雇を言い渡しました。理由は「不適切でふそんな行動」。

 「私は仕事をふまじめにやったことはありません。明らかに労組活動家排除を狙う不当解雇です」―チッカレッリさんは語ります。

全国各地で運動

 所属するイタリア労働総同盟(CGIL)と共に、同年七月、地元の裁判所に提訴。七月末には「解雇は不当」とする判決が下り、裁判所は会社に職場復帰させるよう命じました。

 判決後すぐに元の職場で再び働き始めました。チッカレッリさんはうれしそうに語ります。

 「解雇規制が労働者に欠かせない守り手であることがよく分かりました。労働者は弱い立場にあるからこそ、法律の力で守られなければならない。解雇規制は停止でなく、より強化されるべきです」

 政府は昨年十一月個別解雇規制制度の一時停止案を決定、これに反対する労働者の行動が二月下旬から連日のように全国各地で続いています。最大の労働組合連合組織、伊労働総同盟(CGIL)はその全面撤回を求めて三月下旬に全国デモと四月五日にゼネストも予定しています。

 (ローマで島田峰隆)

 


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