日本共産党

2002年2月18日(月)「しんぶん赤旗」

11万人リストラ NTTの無法

春名議員の質問で明らかに


 最大株主は日本政府、内部留保金八兆八千億円のNTTグループが十一万人の大リストラをすすめています。そのやり方は“無法行為”の数々です。十四日の衆院予算委員会での日本共産党・春名なお章議員の質問で浮きぼりになりました。

無法1 「選択」、実は退職強要

東京支店は1年、その後は遠隔地へ

 NTTは、広域配転を条件にNTT本体に残るのか、NTTを退職して基本賃金三割カットの外注子会社に再雇用されるかの「選択」を、五十歳以上の労働者全員に一月中を期日に迫りました。しかし、この「選択」は、形ばかりのものでした。

 「賃金三割カットでは生活できない」とNTT本体に残る「六十歳満了型」を選択した労働者に、会社側は脅迫までおこない、退職を強要しています(別項)。春名議員は、退職勧奨のマニュアルをしめし、退職を迫ることが組織的におこなわれていることを追及しました。

 NTTの子会社「ME中東京」で作成した「構造改革における今後の対応等について」という幹部職員用のマニュアルです。NTT本体に残るか、外注子会社の社員になるかを労働者に記入させる「雇用形態選択通知書」でNTT本体に残る「満了型」を選んだ労働者にたいしては、「通知書」を「受け取りました」といってはいけないなど指示しています。働ける年齢や退職金など、退職したほうが有利だと、説得の仕方が記されています。

 「限度を超えた退職勧奨」は、最高裁でも断罪されています。下関商業高校事件判決は、はっきりと退職しない意思を表明した労働者に執ように退職勧奨を続ける場合や、精神的苦痛を与えるような言動があった場合などは、違法行為としています。

 春名議員は迫りました。

 「脅迫の同意だ」

 「国として法律を守らせる責任ががある。退職の強要はできない」

 坂口力厚労相は「守られていないというのであるならば、われわれも法にしたがって指導をしなければならない」と答えました。

無法2 事実上の50歳定年制

厚労相 「違反あれば厳しく指導」

 五十歳の労働者をいったん退職させ、再雇用するというやり方は、今回一回限りのものではありません。春名議員がしめしたNTT東日本東京支店の「構造改革に向けた業務運営体制の見直し等について」という文書を見ると、二〇〇二年、〇三年以降についても五十歳になった労働者の退職・再雇用を計画していることがわかります。

 これは事実上の「五十歳定年制」です。労働者雇用安定法では、定年は六十歳を下回ることはできないと定めています。NTTは、「社長達」で、五十歳退職・再雇用をやると通知しています。それは、就業規則にこのシステムを書き込めば、五十歳定年制となってしまうからです。

 これも“脱法行為”です。「一定年齢になったときに退職を事実上、強制するというふうな行為があれば、それは高齢法の脱法行為になるということは十分あり得る」(一九九九年七月九日、衆院労働委員会での渡辺信職業安定局長)との国会答弁もあります。

 春名議員がたたみかけます。

 「法の網をかいくぐって、六十歳定年制も踏みにじって、そして三割賃金カットを強行する。こんな仕組みを日本最大の企業が導入して、十一万人リストラをやっている。見て見ぬふりをしていいのか」

 坂口厚労相は「法令に違反していることがあれば、厳しく私の方は指導をいたします」。

 国連の社会権規約委員会は、昨年八月、日本での四十五歳以降の労働者の給与の削減や解雇について懸念を表明し、必要な措置をとるよう勧告しました。厚労省はことし一月、「適切に対処していきたい」と表明したばかりです。春名議員は、「国連勧告に適切に対処するというその試金石がこのNTTの問題」と力説しました。

 【NTTリストラとは】NTTグループの経常利益は六千六百五十億円。もっと利潤をあげていこうとすすめているのが、この大リストラです。その背景には、株主の利益を第一に考える純粋持ち株会社をつくったことがあります。多くの大企業が純粋持ち株会社化をめざすなか、NTTの大リストラは社会に大きな影響を与えます。


退職強要の例

 ●本社に残る選択をしようとした労働者に「あなたは満了型を選べるほどのスキルを持っているのか。訂正しろ」と脅迫し、むりやり外注子会社に。(愛媛)

 ●ためらっている労働者が「遠くへ行くことになるぞ。東京支店は一年、その後は遠隔地だ。家族に負担がかかるぞ」と脅迫され、しぶしぶ子会社へ。(東京)

 ●残る決意をすると、課長が二回、「仕事なくなるよ」と脅迫。三回目には課長も加わり、外注子会社への再雇用を強要された。(福岡)

 ●「満了型」を選ぶと、課長が職場の同僚の前で「なにを考えてんねん」と怒鳴りつけた。(大阪)


労働者たちの新たなたたかい

 「NTTに残っても、子会社に移っても力を合わせてたたかおう」と労働者たちは、新たなたたかいに立ち上がっています。「こんな無法なリストラが許されるのか」との思いからです。

 各地の職場で、通信労組(全労連)、NTT労組(連合)の違いを超え、労働者が集い、「NTTリストラ問題をいっしょに考える会」などが次々と発足しています。

 退職・再雇用の道を選んだ労働者は、「勤務地や業務内容を明らかにし、現在の勤務場所で仕事を確保せよ」「外注子会社の経営にNTTが責任を持て」。NTT本体に残った労働者たちは「広域配転、異職種配転は本人同意で」、「仕事を残せ」などの声をあげ、要求実現へ運動を続けています。

 【NTTリストラとは】NTTグループの経常利益は六千六百五十億円。もっと利潤をあげていこうとすすめているのが、この大リストラです。その背景には、株主の利益を第一に考える純粋持ち株会社をつくったことがあります。多くの大企業が純粋持ち株会社化をめざすなか、NTTの大リストラは社会に大きな影響を与えます。

 


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