日本共産党

2002年2月16日(土)「しんぶん赤旗」

負けてたまるか リストラの職場で

話が違うぞ 遠隔地転勤強要

三菱製鋼室蘭

立ち上がった青年労働者

家族の事情も考慮されず


 無法なリストラのあらしが吹き荒れるなか、北海道の室蘭から名古屋への遠隔地転勤を命令された二十八歳の青年労働者が、「こんなやり方には応じられません」と日本共産党の支援も受けて、会社の退職強要をはねかえそうと立ち上がっています。(小野真実・北海道記者、名越正治記者)


 青年は池田勉さん=仮名=。地元高校を卒業し一九九二年に三菱製鋼室蘭特殊鋼の東京製作所に採用されました。求人票は「九六年北海道・室蘭に移転・操業開始」と明記し、道内出身者の同期は四十七人。九六年十二月には予定通りに室蘭特殊鋼に出向し、クレーン運転およびオペレーターとして働いていました。

執ように続く面接

 室蘭特殊鋼は昨秋、赤字を理由に「現在から七十人減らし二百十人体制にする」と労働組合(連合・鉄鋼労連加盟)に提案。昨年十二月には、四十五歳以上を対象に早期退職勧奨制度で労働者が次々退職に追い込まれました。新日鉄室蘭製鉄所からの転籍者もほとんどが辞めさせられました。

 池田さんには昨年十一月に一回目の面接があり、転勤に応じるか、室蘭に残って所内配転を選ぶかを聞かれました。障害を持つ母の面倒や、九十歳になる祖母の病院への送り迎えをしているので、「まさか自分が対象になるとは思いもしなかった」といいます。

 年明けの一月十一日、会社は突然、「部品販売にいってくれ」と命令。勤務場所や労働条件を示さないまま、転勤に同意するよう求めました。

 「室蘭で働けると思って三菱に入ったんです。家族は私を頼りにしていて、転勤には応じられません」と池田さん。上司は「家族のことは関係ない」と突っぱねました。

 三、四、五回と執ように続く面接。「もう仕事はこっちにない」「ほかにいかないという人は、辞表をもってきている」「決定だ。ぐずぐずいったって仕方がない」「子どもみたいなことをいうな。ここは学校じゃないんだ」。脅しがどんどんエスカレートしました。

9億円超す助成金が

 「こんな会社、辞めてやる」と投げやりになっていた池田さんをたしなめたのは母親でした。知り合いの嶋田さつき日本共産党市議の紹介で「三菱製鋼は退職強要をやめろ」と宣伝してきた日本共産党新日鉄室蘭製鉄委員会に連絡しました。

 池田さんは一月十七日、労働基準監督署に申し立て、労基署員は「道労働局に連絡をとり、その任務に当たってもらう」と回答しました。

 日本共産党製鉄委員会は、職場新聞「高炉のハタ」を門前でくばり、会社のやり方を批判しました。室蘭特殊鋼設立のさい、六百人体制を掲げ、雇用拡大につながるものとして、市から七億一千四百万円、道から二億五千万円、合計九億六千四百万円も助成金を受けていたことを指摘。所長が「百七十人ないし百六十五人体制まで減らす」と公言していることも紹介し、「三菱は大企業の社会的責任を果たせ」と訴えています。

 職場では、「助成金は知らなかった」「君の主張が正しい」と激励と共感が広がっています。

名古屋行き押しつけ

 池田さんの申告に道労働局は「本人から家族の事情をよく聞くように」と会社を指導しました。会社は一時は現場に復帰させましたが、調停を無視して名古屋への転勤を強要。二月十四日には、名古屋行きのチケットを押しつけ、池田さんが労働局に再度申告し、労働局が係争中の件だから強制はしないように、と会社に連絡しました。

 日本共産党道委員会も二月十四日、労働局に対し、「職種も変更して遠隔地に配転するのは、明らかに一方的な不利益変更」「実質的な解雇をするための配転は放置できない」と要請しました。

 労働局は「調停中に会社が一方的に業務命令を出したのは驚いている」「急いで結論を出したい」と回答しました。

 池田さんはいいます。「『室蘭で働きたい』といっただけでなしてこんな仕打ちを受けるのか、わかりませんでしたが、だんだん見えてきました。多くの青年がやむなく退職させられました。こんなことを黙っているわけにはいきません」

 激励先=室蘭市東町四の七の八日本共産党室蘭地区委員会気付 電話0143(44)5573。ファクス0143(43)2968

 


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