日本共産党

2002年2月12日(火)「しんぶん赤旗」

肉骨粉業界最大手の徳島化製

60億円の返済 県“肩代わり”

無利子「同和高度化資金」を“秘密補助金”で

日本共産党県議団の調査で判明


 肉骨粉製造の全国最大手業者「徳島化製事業協同組合」(岸小三郎理事長、徳島市)が国、徳島県・市から総額六十億円の無利子融資を受け、その融資返済分を県が補助金として与えるという異常な事態が日本共産党徳島県議団の調査でわかりました。

 徳島化製は、全国で二十社をこえる「岸化学グループ」の中核会社。肉骨粉業界では全国二割のシェアを占める業界最大手で、北海道から鹿児島まで事業を展開。千葉県で発生した狂牛病(BSE)第一号の牛を肉骨粉処理したのも関連会社でした。

 徳島化製は、これまで国の「構造改善高度化資金」として国・県から(1)八億円(七八年度、返済済み)(2)三十九億円(九三年〜九五年度)の二回にわたり、計四十七億円の無利子融資を受けました。これは、国が中小企業総合事業団を通じて総事業費の54%、県が26%をそれぞれ融資するもの。同和対策を定めた「地域改善対策特別措置法」にもとづく事業として採択されました。県は「同和高度化資金」とよんでいます。

 この融資を返済するさいの“助け舟”をだしてきたのが県と徳島市でした。

 県と市は、一回目の高度化資金の融資の償還時に、償還額の45%にあたる三億六千万円を無利子で協調融資。二回目の融資の際は、本来事業者が負担する総事業費の20%分、九億七千万円を同様に無利子で融資しました。国県市の融資総額は六十億円にも。

 さらに、県は二回目の高度化資金の返済が始まる二年前の九四年度に、畜産課、商工政策課、生活衛生課の三つの課で新たな補助金を創設(九五年二月)しました。

 対象となるのは「県下全域から排出される副産物を処理できる」業者。この条件を満たすのは徳島化製だけで、事実上、同化製を対象にした特別の補助制度。しかも、昨年六月に日本共産党の山田豊県議が議会で追及するまで議会に説明すらおこなわれなかった“秘密の補助金”でした。

 この補助金による徳島化製への交付額は毎年三億円(九四年度のみ二千万円)。高度化資金の償還額である毎年三億三千七百万円とほぼ同額です。交付された補助金はこれまで二十四億円にも。自治体関係者も「実態としては徳島県が徳島化製の返済資金を補助金を出して肩がわりする構図」と指摘します。

 徳島化製は本紙に「狂牛病騒動が落ち着かないと対応できない」として事実上、回答拒否。融資返済能力をチェックしなければならない立場の中小企業総合事業団は「事業団の融資先はあくまでも県。そこから先は県と業者の問題」と責任を回避。圓藤県知事は議会で「補助金は公共性が高く、必要かつ合理的」といい、情報公開も「支障が生じる」と拒否したままです。

 肉骨粉業界の関係者は「業界全体が苦しいのになぜ、徳島化製が全国展開できたのか、疑問だった。その背景に行政によるこんな異常な資金援助があったとは驚きだ。高度化資金の融資を受けながら返済していない業者が一部にいるのも事実だ。業界全体への誤解も生むだけに徹底的に調べてほしい」といいます。


無担保・無保証人融資は最下位なのに

 日本共産党の山田豊県議の話 徳島県における無担保無保証人融資の実績は、九九年度わずか四件、六百万円で全国最下位。その一方で一民間業者に異常な資金援助をしておいて「問題ない」とするところに行政と徳島化製との構造的な癒着がある。徹底的に疑惑を追及していきたい。

 


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