日本共産党

2002年1月25日(金)「しんぶん赤旗」

所得税の課税最低限

「日本は高い」はウソ

現在の為替レートでも購買力平価でも


 小泉内閣・与党は、いろいろな口実で、庶民への増税となる所得税の課税最低限引き下げのための宣伝を繰り広げています。これまで、その口実の一つにしてきた「日本の課税最低限は国際的にみて高い」という論法自身が、「円安」といわれる現在の為替レートでは成り立たなくなってきています。もちろん、実際の各国通貨で商品を買う力を示す購買力平価でみれば、日本の課税最低限はむしろ低い方。この論法のウソが鮮明になっています。

財務省宣伝は円高時の試算

 財務省は、そのホームページに、所得税の課税最低限について、日本と米国、欧州諸国との国際比較をした金額を公表しています。

 それによると、日本は三百八十四万二千円(夫婦子二人の給与所得者の場合)で、米国の二百九十九万八千円などより高くなっています。

 しかし、この試算のもとになっているのは、一ドル=一一九円などという、かなり円高の時の為替レートです。

 現在の為替レートは、これより円相場が下がって一ドル=一三四円前後。このレートで、あらためて各国の課税最低限を計算すると、日本は、夫婦子二人の給与所得者の場合、ドイツの四百一万四千円より低くなります。

 夫婦子一人の給与所得者の場合では、ドイツより低いだけでなく、社会制度が似ている米国さえも下回ります。

国民の実感に合った比較では

 では、購買力平価では、どうなるでしょうか。

 OECD(経済協力開発機構)が毎年発表している各国の購買力平価によると、最新の二〇〇〇年平均では、一ドル=一五六円などとなっています。

 これで、同じように、各国の課税最低限を計算すると、夫婦子二人の給与所得者の場合でも、夫婦子一人の場合でも、イギリスを除き、圧倒的に日本は各国の水準を下回ります。

 イギリスは、課税最低限は低くなっていますが、「就労世帯税額控除など、社会保障制度というべき、低所得者に厚い代わりの手当制度がある」(財務省主税局)ので、低所得者への税負担は事実上、かなり免除されています。

 結局、国民の生活実感に合った購買力平価の国際比較では、日本はむしろ最低の課税最低限の水準ということになります。

 小泉内閣の閣僚の一人、竹中平蔵経済財政担当相は自著『みんなの経済学』で、一ドル=一一二円という超円高の為替レートをもとにした課税最低限の国際比較の一覧表を掲載。そこで、「日本は比較的所得の低い層にとってはたいへんな税金天国」と書き、その引き下げを主張していますが、これも根拠のないデタラメにすぎません。(今田真人記者)

 


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