日本共産党

2002年1月10日(木)「しんぶん赤旗」

小型核兵器開発も

米の核実験再開方針

米紙報道


 【ワシントン9日坂口明】米国のブッシュ政権が新たな核戦略、核態勢見直し報告(NPR)を打ち出す中で、地下核実験を一年あるいは二年以内に再開する方針であることが明らかになりましたが、実験再開は新しい小型核兵器開発の計画と結びついたものであることがわかりました。さらに新戦略では従来削減するとされてきた戦略核兵器も解体せず、「危険防止策(ヘッジ)」として貯蔵し、いつでも再配備できるようにしておく方針であることが明らかになりました。


「削減」の戦略核 解体せず貯蔵

 「削減」戦略核兵器貯蔵の方針は、クラウチ国防次官補(国家安全保障政策担当)によるNPRについての機密背景説明を聞いた議会筋の話として、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストの九日付が報じているものです。

 それによれば、ブッシュ政権は現有の六千―七千発の戦略核兵器を千七百―二千二百発まで「削減」すると発表しましたが、「削減」される約四千発の核弾頭・爆弾のうち、何発が解体され、何発が実戦使用からはずされ貯蔵されるだけなのかは決まっていないといいます。

 ワシントン・ポストによれば、八日の説明で明らかにされた確実な解体計画は、ピースキーパーICBM(大陸間弾道ミサイル)サイロ五十個の解体だけ。「削減」された核兵器を解体せず「ヘッジ」として貯蔵する政策は一九九○年代から実施され、貯蔵核兵器のなかで「ヘッジ」される核兵器は次第に増加しています。


広島、長崎から抗議

写真
米の地下核実験再開の方針に抗議し、核兵器廃絶を求める署名をよびかける山形県原水協の人たち=9日、山形市

 米政府が地下核実験再開の可能性を議会に通告した問題で九日、原水爆禁止広島県協議会と広島県原爆被害者団体協議会(金子一士理事長)は、ブッシュ米大統領に抗議文を送り、撤回を求めました。

 抗議文は「各国が国連を中心に長年、ねばりづよく積み上げてきた核兵器廃絶をめざす約束ごとを一方的にふみにじるもの」と厳しく抗議しています。

 また、小泉純一郎首相に要請文を送り、被爆国として米政府に地下核実験再開通告の撤回を迫るよう求めました。

 原水爆禁止長崎県協議会の片山明吉事務局長は九日、同問題について、「自らも合意した『核保有国は自国の核兵器の完全な廃絶を達成することを明確に約束する』(国連総会の)最終文書を死文化し、核兵器廃絶の流れに重大な『逆流』をもたらすもので断じて容認できない」との抗議の見解を発表しました。

 


もどる

機能しない場合は、ブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。


著作権:日本共産党中央委員会 
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp