日本共産党

2002年1月9日(水)「しんぶん赤旗」

主張

雇用不安

リストラへの反撃が始まった


 国民がこんな雇用不安のなかで新年を迎えたことがあったでしょうか。最悪の完全失業率はことしさらに悪化し、「失業率6%台は時間の問題」と予測される事態です。大失業政治をくいとめることはことしの最重要課題の一つです。

大失業作る小泉改革

 失業激増が予測される原因は、大企業のリストラを支援し不良債権の早期処理を促進する小泉内閣の「構造改革」です。首相が失業率悪化に直面しても「改革の手を緩めてはならない」と号令をかけ、大失業社会を誘導するのは、歴代の自民党政権にもない異常な姿勢です。

 首相は年頭の記者会見で雇用対策として「五百三十万人雇用創出」を強調しましたが、これは裏付けのない「絵に描いたもち」にすぎません。「雇用の多様化」の名で労働分野の規制を緩和して、低賃金の不安定雇用労働者の大群をつくりだし、大企業が低コストの雇用構造で高収益を上げる仕組みをつくる方向です。

 政府の肝いりで政労資による「ワークシェアリング」(仕事の分かち合い)の協議も始まりましたが、財界の狙いは雇用維持を名目とした賃金の引き下げです。原則として賃下げなしの労働時間短縮によって雇用拡大を進めるフランスやドイツとは根本的に違います。

 リストラと失業増大が国民の所得と消費を減らし企業の生産も低下させ、経済を危機的状況に追いやっていることは大不況の現実が証明しています。経済危機へのかじ取り不能の小泉政治に未来はありません。

 解雇・リストラの規制と賃下げなしの労働時間短縮による雇用拡大という政策への転換こそ必要です。

 いま注目されるのは、横暴なリストラに反撃するたたかいが全国の職場で広がり始めていることです。

 今日のリストラは、労働者保護の現行法や判例も無視する無法な手法が特徴であり、それが重大な弱点となっています。

 人権も無視した退職強要や別会社への転籍の強制、一方的な労働条件の切り下げ、サービス残業(ただ働き)の横行や年次有給休暇を取らせないやり方は労働関連の法令や判例を無視するもので違法・不当です。

 転籍や退職の強要にたいしては、住友金属、松下電器、村田機械、NTTなどで職場からのたたかいと日本共産党国会議員団の国会質問、労働基準監督署への是正申し入れなど反撃のたたかいが起き、強要をやめさせる例が生まれています。

 サービス残業の横行にはトヨタ自動車と関連企業、日立製作所、三菱重工、沖電気などで、労働者と党組織が厚生労働省のサービス残業解消の通達を活用し、労基署も動かして相次ぎ改善をさせています。

 年休が満足に取れない生産計画をたてているスズキで党組織が改善を訴え、会社の「合理化」計画に協力している労組も人員増を要求するという変化が生まれています。

職場と国にルールを

 リストラに応じない労働者を座敷ろうに閉じ込める人権侵害は、職場からの告発と世論の力でセガ、日本NCRなど次々撤去させてきました。

 中高年へのリストラや日本の過大な労働時間は、人権問題として国連社会権規約委員会からも、雇用の安定と労働時間の削減の措置を取るよう勧告が出されているのです。

 雇用危機の打開へ、「職場にルールの確立」のたたかいと解雇規制法の制定など「国のルール確立」の要求を結んで、運動を大きく広げようではありませんか。

 


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