日本共産党

参議院地方行政委員会での諫山博議員の質問(抜粋)

1990年6月25日

※拉致問題に関係する部分の抜粋を紹介します。

(前略)

◆諫山博君 警察庁は今月の二十二日に、金賢姫、大韓航空機爆破事件の犯人として死刑の判決を受けた人ですね、この人に日本語教育をした李恩恵という人のことが詳細に警察庁から発表されました。各新聞に報道されていますけれども、李恩恵に関する警察庁が発表した情報はどうしてキャッチした情報でしょうか。

◆政府委員(城内康光君) お答えいたします。

 ただいま御質問のありましたリ・ウネあるいはイ・ウネとでも申しましょうか、この日本人と思われる女性につきましては、かねてよりその身元割り出しについて努めてきたわけであります。これまで家出人で不明になっている人たちのデータとか、あるいはただいま御質問のようにポスター、チラシなどを配布した結果寄せられた情報、そういったものをずっとクリアしてまいってきておるわけでございます。

 ところで、四月になりまして、韓国側から新たな情報が入手された、いろいろと金賢姫が韓国側係官と話している過程でふと思い出したということで、それは数点ございますが、一番大事なところは恩恵が自分の名前は「ちとせ」だということを言ったという点でございますが、そういった点について突然思い出したということで、金賢姫自身がずっと忘れていたということで、いろいろ日本の話をしている過程でふと思い出したということで、連絡を受けまして早速係官を派遣し詳細について確認をしてまいった、こういうことでございます。

    ─────────────

◆委員長(渡辺四郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。

 本日、安恒良一君が委員を辞任され、その補欠として岩本久人君が選任されました。

    ─────────────

◆諫山博君 新聞で報道された情報は非常に具体的ですね。恩恵は東京の上野周辺で生まれ育った。兄は会社員でバングラデシュに出張したことがある。母親は七十歳近くだった。恩恵は食堂でアルバイトとして働いていたこともある。非常に具体的です。この情報を警察は虚偽の情報と見ていますか、確実性のある情報と見ていますか。

◆政府委員(城内康光君) いろいろ直接本人にも会って確かめてあるわけでありまして、総合的に申し上げれば大変信憑性の置ける中身であろうかというふうに考えております。

◆諫山博君 これに信憑性があるとすれば、日本の警察の能力で調査できないはずはないと思います。そして、この問題はかって参議院の予算委員会でも取り上げられたことがあります。我が党の橋本敦議員が、昭和五十三年の七月、八月ごろ、新潟県、富山県、福井県、鹿児島県などで日本人のアベック四組が拉致されて蒸発した事件がある。一件は未遂だった。この問題をいろいろ質問しているんですけれども、警察の答弁では、これはやはり拉致されたものではなかろうかという認識のもとにこれからも調査を進めるということになっていますけれども、どうなっていますか。

◆政府委員(城内康光君) ただいま御質問の昭和五十三年の三件の拉致事件と思われる事件、それから富山県における拉致未遂事件、これにつきましてはその後もいろいろと捜査をしておるわけでございます。この四件とも私どもはその状況、手口から見て拉致または拉致未遂事件であろう、そういう疑いが強いというふうに見ておりますし、また、発生場所が海岸部であることを考慮すれば海外に拉致されている可能性もあるということで、大変重大な事件だということで、公開手配もしていろいろと捜査しておるわけでございますが、いずれも手がかりが大変少なく、いまだに解明に至っていないわけでございます。

 それからまた、李恩恵のことに戻りますけれども、金賢姫は李恩恵という女性と一年六カ月もの長い間一緒に生活をしていたわけでございますが、身体の特徴とかあるいは趣味、嗜好の面についてはかなりの情報があるわけでございますが、一緒にいたところがいわゆる工作員の訓練所でございまして、お互いの身元について詳しい話をすることが禁ぜられている、こういう状況でございましたので、いろいろリアルな話というのはたくさん伝わってくるわけでございますが、なかなか身元に直接結びつくようなものが足りなくて大変私どもは難渋をしておるという状況でございます。私どもが今度の名前の点で「ちとせ」という情報を入手いたしましたものですから、私どもの既存の資料については直ちにそれを一々当たっておりまして、今回またそれを公開することによって、また国民の皆さん方のいろいろな御協力を得つつ、さらにその身元の割り出しに努めてまいりたい、こう考えている次第であります。

◆諫山博君 坂本堤弁護士の問題にしましても、それから拉致されたのではないかと言われている問題についても国民は非常に大きな関心を持っていると同時に、特に拉致事件について言いますと、外国に連れ去られたのではないかということになりますと、これは日本の主権侵害にかかわる問題です。両方の事件について厳正に速やかに調査していただきたいと思いますけれども、警察庁長官、この二つの事件についてどう思われますか。

◆政府委員(金澤昭雄君) 二つの事件につきましてはまことに重大な事件だと考えております。今お話にありましたように、日本国民のこの二つの事件に向けます関心はまことに深いものがありますし、また我々警察の方といたしましても、この二つの事件の解明、これには全力を尽くしておるわけでございます。残念ながら今のところまだ手がかりがないという状況でございますけれども、今後とも全力を尽くして解明していきたいと思います。

(後略)

もどる

機能しない場合は、ブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。
日本共産党ホームページへはこちらから


著作権:日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp